第五幕 -己の進むべき道- ページ33
フラッドside
ヒルチャールの群れが僕達に押し寄せる。次々と振り下ろされる棍棒を、斧を避けながら、手にした両手剣を滑らせるように叩き込んでいく。
巨大な青黒い刃はヒルチャールの体に喰らいつき、その手足を、胴体を、首を、時には体を両断していく。血を振り撒き、絶叫をあげながら消えていくヒルチャールの死体を眺めながら、最後の一体の首を跳ね飛ばして小さく息を吐いた。
『……次』
先鋒は潰した。残るは斧を持った暴徒と後方の雷の弓矢使いだけだ。
「フラッドさん大丈夫…！？」
『問題無い。君こそ大丈夫か？』
「俺は大丈夫！」
彼も中々に腕の立つ子だ。身軽な動きで剣を手にヒルチャールを斬り伏せる姿は、数々の修羅場を潜り抜けてきた事を強く伝えてくる。
こんなに頼もしい人は居ない。僕も安心して背中を預けられそうだ。
『(さて…どちらからやるか……)』
炎元素の斧に雷元素の矢……厄介だな。手早く倒してしまおう。
刃を伝う血を振り払って柄を握り直す。その瞬間、僕の顔目掛けて雷の弓矢が飛んできた。
「風刃っ！」
矢は僕の顔に当たる直前で、横から吹き荒れた風に吹き飛ばされた。
「俺が弓矢を片付けるから、フラッドさんは暴徒をお願い！」
『分かった…！』
彼が走り出す。暗い夜の中を走る金色に、灼熱の刃が迫る。
その刃を迎え撃つように間に割り込み、熱された斧の刃を剣で受け止めた。
…何だ、この違和感。
突き飛ばすように押し返して距離を取る。そのまま間髪入れずに両手剣を投げ飛ばせば、真っ直ぐ飛んだ剣はヒルチャールの右肩にぶつかり、爆発したように斬り裂いて胴体から腕を切断した。
それでもソイツは悲鳴一つあげない。ただ真っ直ぐ僕に向かってくる。
『(コイツ……！)』
やっぱり様子がおかしい。この暴徒からは一切の感情を感じ取れない…！
まるで死ぬ事が怖くないと言うように、ソイツは僕に突撃してきた。
【Ura！】
『……！』
叩き落される刃を横に跳んで避ける。体勢を直しつつ右手を左から右へ振り切れば、無数の水滴がナイフとなって一列に並ぶ。
『水禍の刃…！』
無数のナイフが暴徒に襲いかかる。その全てが暴徒の体に喰らいつき肉を溶かしていく。
それでも止まらない。暴徒の歩みは変わらず、僕に向かって突撃してくる。
僕の体から、メキッと嫌な音が聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます！風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー！ (3月28日 10時) (
レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…！！！ (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです！フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね！これからも戦い続けますよー！適度に休んだりしていますのでご心配なくー！ですがお声掛けして下さりありがとうございます！ (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと？もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか？体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください！！ (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜！！神作品2個目、そして更新ありがとうございます！これからも頑張って下さい！体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年12月6日 1時
