第五幕 -己の進むべき道- ページ23
フラッドside
沢山歩いて、喋って、一緒にご飯を食べて、時間はあっと言う間に過ぎていく。
久しぶりの野宿は三人で川の字になって眠った。疲れてすぐ眠ってしまった二人を両脇に、僕は一人、暗いテントの天井を見つめていた。
寝つけない訳じゃない。ただちょっと……懐かしくなってしまって。
【"ナンダオ前！此処デ何シテル！？"】
『"同胞に殺されそうになったんだ……。戻る場所も、何も無い……"』
【"仲間居ナイノカ？ナラ俺達ノ家、来イ！"】
最初の野宿はヒルチャール達の集落だったな。風通しが良くてちょっと寒かったけど、皆で寄せ集まって僕を温めてくれた。
嬉しかった。仲間に殺されかけて必死で逃げてきた種族違いの僕を、皆は歓迎してくれた。
『(今思えばとても雑な味のご飯も、気持ちが篭った美味しいご飯だった)』
あの時は外が怖くて皆に守ってもらっていた。あの日までずっと僕は、集落の中で怯え隠れていた。
もうあの集落は無い。皆はもう居ない。僕も人の姿になって、彼らの敵となった。
『……』
僕には大切なものが出来たんだ。恐怖よりも"守りたい"と強く思わせるような、大切なものに。
清泉町の人達、ガイアを含めた西風騎士団の皆、旅人にパイモン、そして……。
『(ディルック)』
僕の命を狙った彼への恐怖は正直まだある。でもそれは長年思い込んでいて根付いてしまった無意識の恐怖心だ。
彼は僕を信じてくれている。僕が人を襲わないと信じてくれているんだ。その信用を裏切らない限り、彼は僕の味方でいてくれる。
生き残る為にとか、そんな自分勝手な理由で彼と向き合いたくない。
『…彼を信じないとな』
彼が僕を信じてくれているように、僕も彼を信じたい。彼は僕を裏切らないと。彼は僕の味方になってくれると。
そうしたらきっと、恐怖すら湧かなくなるだろう。
「んむ…」
『…！』
不意に腕を引っ張られた。見てみればパイモンが僕の服の袖を握って、温かい体温に擦り寄るように身を寄せていた。
『……ふふ』
彼らも僕を信じてくれている。ならその信頼に報いるべきだ。
あれから僕は強くなったんだ。まだ少し元素力の操作は下手だけど、それでもまともに立ち向かえるようになったんだ。
だから任せてくれ。何があっても絶対に、君達を守ってみせる。
毛布代わりにしていた自分の真っ黒なコートを掛け直して、少しだけ二人を引き寄せてから目を瞑る。
三人で眠るテントの中は、ベッドとはまた違う温かさがあった。
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九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます！風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー！ (3月28日 10時) (
レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…！！！ (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです！フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね！これからも戦い続けますよー！適度に休んだりしていますのでご心配なくー！ですがお声掛けして下さりありがとうございます！ (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと？もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか？体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください！！ (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜！！神作品2個目、そして更新ありがとうございます！これからも頑張って下さい！体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年12月6日 1時
