第五幕 -己の進むべき道- ページ21
フラッドside
知らない場所、知らない空気、知らない遺跡。外には僕の見た事の無い世界が広がっていて、見た事も無い生き物や魔物が多く存在していた。
「ん〜!すっぱい!」
『これは…っ、ハズレかな…?』
ヴァルベリーを摘んで食べて、パイモンと一緒にその甘酸っぱさに身を震わせる。どうやらまだ未成熟のものを口にしてしまったみたいだ。
「フラッドさん!パイモン!テント設置出来たよー!」
『分かった。行こうパイモン』
「おう!」
獣肉に人参、スイートフラワーにヴァルベリーと、色んな食材を手にして戻る。
近くにあった松明を拝借して焚き火に火を点けると、彼はその上に携帯用の鍋を置いた。
「ニンジンとお肉のハニーソテーでも作ろっか」
「やったー!沢山歩いてもうオイラお腹ペコペコだぞ〜…」
『パイモンは飛んでいるからまだマシじゃないのか?』
「お前〜!飛ぶのだって体力が要るんだぞ〜!?」
『おや、そうだったのか』
ごめんよ、ちょっとからかっただけなんだ。そう怒らないでくれ。
くすりと笑いながら食事の準備が進んでいく。旅人がハニーソテーを作る傍ら、僕は持参したシェイカーとコップを用意して、採ってもらったヴァルベリーと砂糖を中に入れた。
「フラッドさん、何作るの?」
『これでもワイナリーの人間だからね。飲み物の一つ作れないと示しがつかないだろ?』
水元素で水を集めてシェイカーに注ぐ。蓋をして少し振ってやると、中からシュワシュワと音が鳴り始めた。
……うん、このぐらいでいいかな。後はコップに移して……。
『ヴァルベリーのサイダーだ。疲れているだろうから、あまりお腹に響かないように炭酸は弱くしておいたよ』
ベリーサイダーが入ったコップを用意すると同時に、ハニーソテーの良い香りが僕達を包んだ。どうやら彼の方も料理が出来たみたいだ。
「わぁ〜…!お肉に炭酸って、オイラ達すっごい豪華なご飯を食べてるぞ!」
『そうなのか?』
「いつもはお肉を焼いてそのままとか、川の水を浄化して飲んだりしてるから…」
か、川の水……。確かに水源ではあるけど……。
『それと比べたら、確かに今日のご飯は豪華なものだな』
そんな食事を食べていた時もあったなんて……。あぁでも、ヒルチャールの集落でもそんな感じのご飯だったな……。
……嗚呼、懐かしいな。
「じゃあ早速!」
「食べるぞ〜!」
『あぁ』
嬉しそうに笑う二人と一緒に手を合わせて、焚き火を囲んだ三人だけの昼食が始まった。
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九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます!風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー! (3月28日 10時) (レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…!!! (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです!フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね!これからも戦い続けますよー!適度に休んだりしていますのでご心配なくー!ですがお声掛けして下さりありがとうございます! (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと?もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか?体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください!! (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜!!神作品2個目、そして更新ありがとうございます!これからも頑張って下さい!体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月6日 1時