第四幕 -アカツキワイナリー- ページ18
旅人side
清泉町での襲撃事件の傷も癒えた頃、モンドでの依頼が一通り落ち着いた俺達はアカツキワイナリーを訪れていた。
「アイツ、元気にやってるかなぁ?ディルックを見て泡吹いたりしてないよな?」
「流石に慣れたんじゃないかなぁ…?」
フラッドさんが清泉町を出てから数ヶ月は経っている。流石にもうワイナリーでの生活にも慣れただろう。
それにフラッドさんはあぁ見えて度胸のある人だよ?清泉町に居た時も、畑荒らしの犯人だった猪を斧を片手に物凄い形相で追いかけ回して仕留めてたし…。
……あの時のフラッドさん、そこら辺の魔物より怖かったな……。
「あ、見えてきたぜ!」
先に行くパイモンの後を追って行けば次第にワイナリーが見えてくる。門前に立ってノックしようとしたら、
「遅いっ!」
『たぁあっ!!』
同じようで違いのある2つの声が、ワイナリーの裏手から聞こえた。
「この声…ディルックとフラッドだよな?」
「裏に居るみたいだね」
鋼がぶつかる音が聞こえるし、訓練でもしてるのかな?
ワイナリーの裏手に回って顔を出すと、途端に焼け付くような熱が顔を煽った。
横に薙ぎ払われた炎の刃をフラッドさんは後ろに飛んで避ける。それでもすぐにディルックさんは距離を詰めて、薙ぎ払った刃を再度振り切った。
炎がフラッドさんに叩き込まれる。その刃は彼の体を斬り裂く前に、彼が持っていた両手剣の刃に食らいついた。
「(凄い…っ)」
ギリギリと刃が悲鳴を上げる。炎がフラッドさんの髪を炙っていく。
彼はぐっと足に力を込めて、押し込んでくるディルックさんを思いっきり突き飛ばした。突き飛ばされたディルックさんはすぐに体勢を直して、斬りかかろうとフラッドさんの方を見た。その瞬間、
ディルックさんの眉間を狙って、巨大な刃が真っ直ぐディルックさんに撃ち込まれた。
「危ないっ!!」
パイモンが悲鳴をあげる。投擲された両手剣はディルックさんの頬を掠めて後ろに飛び、ドンッと大きな音を立てて地面に激突した。
土煙の中をパラパラと小石が降り落ちる。土煙が晴れた先には、陥没した地面に突き刺さる黒と青の両手剣。
『二人共来ていたのか、久しぶりだね』
「こ、こんにちは…」
フラッドさん、片手で両手剣をぶん投げてたな……。
彼は『剣を拾ってくる』と言ってその場を離れていく。彼を見送れば、ディルックさんが僕達の方を見てフッと微笑んだ。
「ようこそ二人共。とりあえず中で話そうか」
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九龍(プロフ) - 暁月臨さん» コメントありがとうございます!風邪をひかない内に更新しますので、服を着る準備もしてくださいねー! (3月28日 10時) (レス) @page38 id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - あ…あ…尊いです語彙力なくて申し訳ないですけど本当に好きです…(脳死)更新全裸土下座で待機させていただきます…!!! (3月28日 4時) (レス) @page38 id: efeff932b9 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - もにもちさん» これからディルックさんはどうなるのか…楽しみにして頂けると嬉しいです!フラッド君は今張り切ってますので絶好調ですね!これからも戦い続けますよー!適度に休んだりしていますのでご心配なくー!ですがお声掛けして下さりありがとうございます! (12月23日 22時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - いやぁ、、、ディルック様気付き始めましたねぇ、、ふふふ、、、フラッド君強すぎじゃありませんこと?もう大好きなんですけど、まじで。はい。、、、ほ、本当に大丈夫ですか?体調とか時間とか、、、理由はなにかれ、なんであれ自分の体を労ってあげてください!! (12月23日 21時) (レス) @page26 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - えめっちゃ続きが気になる〜!!神作品2個目、そして更新ありがとうございます!これからも頑張って下さい!体調には気をつけて。 (12月10日 6時) (レス) @page16 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月6日 1時