散らばる星はその地で輝く -5-【短編集】

《リクエスト》誰のものか理解しているのか？-3-【トーマ】 ページ7

フウマside

「お前の事が好きなのに……っ、言う事聞かないし、我儘だし、でもそんなところも可愛いなって思ってるのに…っ」
「オレ、オレッ、そんなに頼りないかなぁ……っ」
「うぅ……っ、フウマァ……ッ、好きだよ、好きだけど、う゛ぅ〜……っ、何でオレの事頼ってくれないのぉ〜……っ！」

………うるさ………。

『(どうしよう、起きちゃったんだけど……これ起きたら絶対面倒臭いやつだ……)』

いやほんとうるさすぎ…。気持ち良く寝てたのに……。
というか何で兄貴が居るの？買い出しに行ったんじゃないの？確かオレ、仕事終わりに居間で寝てた筈なんだけど……。
……っていうか何か若の香の匂いしないか？ん？羽織ってる毛布から……いや違う、これ毛布じゃなくて若の上着！？

『(どういう状況なのか物凄く目を開きたい……、でも目を開けたら泣きつかれる……っ！)』

寝たフリしよう、うん。面倒は避けるに限る……。

「ぐす…っ、ごめんね大きい声出して……起きちゃうよね……っ」

ごめん兄貴、もう起きてる。
目を瞑ったままじっとしていると、不意に兄貴が動く気配がして…


ちゅっ


………え？
え……？え？今、キスされて……っ

「……っへへ」

兄貴の嬉しそうな声が聞こえる。ちょっと動揺していると、そのまま何度も兄貴がオレにキスをしてきた。口ではなく、空いてる胸元や首筋に。

『〜っ』

流石に擽ったい！無理っ！

『兄貴っ！』
「！え、あ、起きてたの！？」
『今起きたっ！何してるんだっ！』

バッと起き上がれば兄貴は途端に顔を真っ赤にして「えぇと…っ」と目を逸らす。じとりと見続けると、観念したように兄貴は涙を浮かべた。

「だ、だって！フウマが若の膝で寝てるから！オレだって、オレだって膝枕した事無いのに…！」
『膝枕…！？』

若にそんな事頼んだ覚えは無いぞ！？まさか…オレが寝てる間に……？

『……はぁ〜……。兄貴、膝貸して』
「へ？」
『いいから、膝！貸して！』

ぽかんとする兄貴はオレの言葉に頷いて姿勢を直す。
その膝に迷う事無く寝転がると、兄貴の方に寝返りを打って腰に抱きついた。

「フ、フウマ…！？」
『何だよ…膝枕したかったんだろ？オレもう仕事無いし、夕飯までこうさせて』
「で、でも…」
『あーにき』

……駄目？

「〜っ、いいよ！夕飯まで寝ていいよ！」
『っはは、ありがとう』

観念してわしゃりと頭を撫でる兄貴は可愛い。あーぁ、ほんと…良い兄貴を持ったなぁ。

《リクエスト》誰のものか理解しているのか？-4-【アルハイゼン】→←《リクエスト》誰のものか理解しているのか？-3-【トーマ】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す