《リクエスト》誰のものか理解しているのか?-3-【トーマ】 ページ6
トーマside
「わ、わ………っ」
え、あ、え?何、この景色っ!
「おやおや…そんな面白い声を出して。どうかしたのかい?トーマ」
「いや、あの、若…!?一体何を……っ」
夕飯の買い出しを終えて社奉行に戻ったら、若がフウマを膝に乗せて寝かせていたんだ。しかも自分の上着まで掛けて!
「(もしかして執務中の若に迷惑をかけたんじゃ……っ、いやいやいや!そんな事より!)」
オレには、オレには膝枕とかさせてくれないのにっ!何で若の膝は良いの!?若だから!?
「う゛、うぅ〜……っ!」
言えない……っ、"其処代わって下さい"なんて、口が裂けても言えない……!
唯一対抗できる兄の肩書きも、若の一言で通用しなくなる。でもオレだって、オレだって……っ、
オレだってフウマに膝枕っ、したいっ!!
「ふふ、代わろうか?」
「えっ!?」
「そんなに口惜しげに唸られたらね。それに今は彼もすっかり寝入っているし、多少動かしても起きないでしょう」
若が彼の頭の下から膝を抜いて、そのまま彼を抱き上げる。
オレの方に来るとそっとフウマを渡してくれて、「しぃ」と口元に指を添えて静かにするようにとだけ伝えてきた。
「上着は後で戻しておくように」
「は、はい……っ」
……行っちゃった……。若も忙しいだろうに、フウマの為に上着まで貸して見守ってたんだろうな……。
「(……オレ、頼りないのかな…)」
フウマは若の言う事だけ素直に聞く。オレの言う事なんて聞いちゃくれない。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ胸がもやっとした。
「(…っ、いけないいけない…!)」
ブンブンと頭を振って彼の部屋に向かう。彼を起こさないように慎重に階段を上がって、ゆっくりと襖を開けて中に入った。
部屋の中に座って膝に彼を寝かせると、普段は見れない彼の寝顔がよく見えた。
『……』
あ〜……可愛い。大きくなっても寝顔は小さい頃のままじゃないか……。
「(…軽くなっちゃったなぁ……)」
膝に感じる重さは手が乗ってるんじゃないかと思うぐらいの感触と重さだ。人の頭の重さじゃない。
こうなったのは半分オレの所為。フウマが人間を辞めてしまったのも、オレの所為だ。
「……フウマ…」
オレ、お兄ちゃんらしい事してやりたいんだ。いいや、多分この気持ちはきっと……兄弟愛とかじゃない。
「…オレだけ頼ってよ……」
サラリと髪を撫でたら、ちょっとだけ悲しくなった。
《リクエスト》誰のものか理解しているのか?-3-【トーマ】→←《リクエスト》誰のものか理解しているのか?-2-【鍾離】
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時