毒蛇にも資格はある【トーマ】 ページ47
トーマside
「よーしよし、いい子だなぁ…!」
休日、稲妻城手前の村でオレは犬猫をたんと可愛がっていた。
この村には流れ着いた野良猫や野良犬が大切に飼われているんだ。オレもこうして顔を出しては世話をしていて、今じゃすっかり皆の名前と顔を覚えたし、皆もオレにすっかり懐いてくれていた。
「っはは!こら、顔を舐めないでくれ!」
もう、可愛いなぁ〜!ワンちゃんはどんな子でも可愛い!フウマにも触らせてあげたいぐらいふわふわだし、こんな人懐こい子達なら彼だって受け入れられると思うんだけどなぁ。
「(昔は二人で動物の面倒見てたのにな……)」
犬を抱き上げて膝上に乗せながら撫でる。フウマはよくこうして膝に乗せて可愛がってたっけ……。
『"兄貴も触ってみろよ!コイツふわっふわだぞ!"』
笑顔で犬を抱き上げて笑って、足元には沢山猫が丸まって寝ていて。鳥だって彼の肩に乗って休んだりしていた。
動物達もきっと彼の優しさに気づいていたんだろう。実際彼はとても優しくて強かった。
『兄貴』
彼の声が聞こえた瞬間、今まで居た動物達は一斉に逃げ出してしまった。
「フウマ…!」
『…ごめん』
「ううん、気にしないでくれ。どうしたんだい?」
『兄貴が居なかったから探しに来ただけだよ』
フウマがオレの隣に座って溜息をつく。チラリと彼が見た方向には、怯えて物陰に逃げてしまった動物が居た。
「…寂しい?」
『別に。動物なんて触れなくても支障無いしね』
そう言う割には結構悲しそうな顔してるけど……。
「(魔神の残滓か…。良くないものだけど、それで実際彼がこうして生きている以上、完全に消し去る事も出来ないし…)」
奇跡に奇跡が重なって起こった偶然で彼は生きている。本当なら彼の中から魔神の残滓を全部取り払ってあげたいけど、そうしたら彼は……
「ねぇフウマ」
『ん?』
「身体は大丈夫?無理とかしてないかい?」
『何を急に……。残滓の影響なら受けてないよ。兄貴だってそう簡単に暴走しない事ぐらい分かってるだろ?』
分かってるよ。鳴神様直々の呪印で封印されてるのもちゃんと分かってる。でも…
「不安には、なるさ」
だって危ないものを身体の中に入れてるんだよ?自分の弟がそんな状態だって知ってたら、不安にもなるって……。
『はぁ〜……ほら帰るよ』
差し出された手を握ると温かくて、彼がちゃんと其処に居ると教えてくれる。
ちょっと泣きそうになりながら、彼の手をしっかりと握って帰る事にした。
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時