《リクエスト》誰のものか理解しているのか?-2-【鍾離】 ページ5
鍾離side
これが全く知らない者だったならば圧の一つでもかけられただろう。だが相手は魈だ、彼は劉斗にとっても大切な存在。
故に、我儘が言えなかった。
「すまない…。こんな真似をするつもりは無かったのだが…」
居場所をある程度分かっていても、帰って来ないお前が心配で…っ、つい彼の視界を覗き見たら、楽しげに話す魈の顔が見えて…っ
「(人と話し、今一度嘗てのように笑い合えるようにと願ったのは俺だというのに……っ)」
お前が居ないだけで不安になった。お前が誰かと親しくしているだけで怖くなった。
同時に、嫌だった。俺だけを見て欲しいと思ってしまった。
『モラクス』
彼の優しい声に視線を移すと、俺の好きな柔らかな微笑みを湛えた彼がそっと口付けをしてきた。
「ん……っ」
食むような口付けの後、劉斗が俺を抱き締める。力強く、しかし包み込むような優しさで。
『妬いてくれたのか。愛らしいなお前は』
「…あまり言ってくれるな…」
『はは、すまない。久しぶりに見るお前の甘えた顔に、どうやら舞い上がっているようだ』
………温かい……。劉斗、俺の愛する人形……。
「フォルファクス…」
『ん?』
「今日は俺も此処に泊まる…」
『堂主には伝えたのか?』
「ん……」
頬を擦り寄せて甘えると、彼はトントンと背中を叩いてくる。あやすようなその一定の振動に、俺がまだ幼い時の事を思い出した。
「…ふふ、こうしてよくあやされたものだな」
『そうだったのか?相変わらず憶えていなくてすまないな』
「気にするな。もっとやってくれ。今はお前にうんと甘やかされたい気分なんだ」
偶には良いだろう?それに俺も、時には愛でるばかりでは無く愛でられたいんだ。
お前に撫でられると心が満たされる。お前に愛されていると実感する。お前がこうして愛でるのは俺だけなのだと、そう思わせてくれる。
「(嫉妬こそするが、この快感を味わえるのは俺だけだと思えば、軽いものだ)」
『分かった。お前の言う通りにしよう』
また口付けを交わし、彼の長い舌に己の舌を絡める。何度も何度も口付け、するりと腰を撫でられながら彼の寵愛を受け入れる。
好きだ。好きだ劉斗。好き。どうか、俺以外見ないでくれ。
「(お前は、俺だけのものだ)」
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時