散らばる星はその地で輝く -5-【短編集】

ろくでもない知識は混ぜるな危険【アルハイゼン】 ページ36

アルマside

今の彼はまるで俺をそのまま写したかのように同じ姿になっていた。
正気を失った赤い瞳、汚染された赤いヘッドホン、全部俺と同じ。

『っ……』

どんな知識に汚染されたのかは分からない。だが普段の彼であればあのような行為は絶対にしないだろう。
肉欲に関連する知識であると推測したが、セノが解決策を講じるまで耐える事ができるだろうか……っ。

「…考え事とは感心しないな」
『んぐっ！？』

じゅるりと水音が大きく鳴る。舌を吸われながら彼の足が股に入り込み、グリグリと刺激を送ってくる。深いキスを続ける彼に呼吸すら奪われるようで、ゾクリとした快感が背中に走ると同時に、少しずつ意識が薄れていく。

『(息が……っ)』

まずい、意識が、飛……っ

『っはぁっ！げほっ、ごほっ！』

漸く彼が離れると、酸欠になった頭に一気に酸素が回って視界が軽く弾けた。

「君は本当に可愛いな」

彼が笑う。返答をする間も無く俺の体はベッドへと投げられ、シーツの上に倒れた俺の上に彼が乗ってきた。
赤い。蕩ける血の瞳は、俺を前に爛々と輝いている。

『っ、しっかりしろアルハイゼン……！』
「しっかりしているとも。俺は至って正常だ。ただどうしようもなく君を抱きたいだけなんだ」

彼の手が俺の纏う服へとかかる。マントを取られ、また服の中へと手が滑り込みそうになる。

『っ、いい加減にしろ…！』

その手に向かって軽く雷を当ててやると、彼は俺の服の中から反射的に手を引っ込めた。

「……」
『っ……』

正気に戻ってくれ…っ、俺は今の君とはこんな事したくない……っ！


強い衝撃が頬に走る。ぐわんと脳が揺れて軽く意識が飛んだ。

『………？』

……殴られた？アルハイゼンに？

「言う事を聞け」

冷えた声が降り注ぐ。彼は俺のヘッドホンを外すと、コードで俺の両手を縛り上げた。

『っ、アルハイゼン！』
「大丈夫だアルマ。何も痛い事はしない。君が大人しくしているならね」

彼が俺の服を捲る。もう一度雷を打とうとした瞬間、突然彼が俺の首を片手で絞めてきた。

『う゛ぁ…っ！？』
「大人しくしろと、先程言った筈だが？」

こ、の……っ、本気で、絞める、なんて……っ！

「嗚呼……可愛い……っ、苦しむお前も可愛らしいな」

恍惚とした笑み、肌を這う手の感触、首を絞められながら胸元の宝石を引っ掻かれ、苦しさと快感の中で吐き気が込み上げる。

『ぐ、ぅう……っ！』
「っはは！可愛い、愛している、愛してるぞアルマ…っ」

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