《リクエスト》髪の一房すら惜しい-1-【リオセスリ】 ページ23
リオセスリside
「…お前、その髪どうした」
昼時にもなり、ラヴィーネと一緒に執務室で昼飯でも食べようと用意していた時、やってきたラヴィの姿を見て俺は軽く言葉を失った。
今日は水の上に書類を持っていく関係でラヴィーネはヌヴィレットさんの姿をしてた筈だ。それなのに執務室に入ってきたラヴィの姿は、あの滑らかな白い長髪がばっさりと切られた姿だった。
『あー……さっき囚人同士の喧嘩を、止めに入ったんだが、その時に引っ張られたから、自分で切った』
ラヴィは首元に手を添えて項辺りを撫でる。その様子を眺めながら、俺は溜息をついて椅子から立ち上がった。
「切った髪は何処やったんだ」
『水に戻して取り込んだ。後で元に戻しておく』
「いいや、いい」
『……?』
ソファに座って隣に居るラヴィの髪に触れる。ヌヴィレットさんの姿でも変わらない漆黒の瞳が不思議そうに俺を見る中、雑に切られた後ろ髪を撫でてやった。
「お前……ガントレットでぶった切っただろ」
『鎮圧を優先した』
「はぁ……後で看護師長に整えてもらえよ?」
コイツの使う武器は俺と同じガントレットだ。だが俺の機械仕掛けのそれとは違って、コイツのは氷で出来た彫刻のように美しいもの。鋭い爪を持つそれにかかれば、髪なんて容易く千切り切れる。
にしてもだ。俺の可愛い妖精の髪を掴んで引っ張るんなんざ……随分と度胸のある奴と見た。
「髪一本でも触れられるとはな……」
本当に、胸糞悪い。
『リオ』
「ん?」
『顔が怖い』
「っはは、悪い悪い」
とりあえず処罰は後で考えるとしよう。今はラヴィーネとの時間を楽しむ時間だ。
「それにしても短髪も似合うもんだな。流石はヌヴィレットさん、顔が整ってらっしゃる」
『俺もそう思う』
用意したスコーンにジャムやバターを塗って食べると、隣のラヴィが突然『そうだ』と呟いた。
その姿が水に包まれる。ぱしゃんと飛沫をあげて再度姿を現した時には、あの真っ黒に染まったヌヴィレットさんの服から俺の服へと変わっていた。
『似合うだろ?』
足を組み、少し得意げに笑うラヴィーネ。いつもの上品で表情の変わらないヌヴィレットさんの顔で不敵に笑うもんだから、そのギャップに少し…うん、少しだけドキッとした。
「短髪だからこそ、だな」
『ポニーテールも似合うぞ』
「あまりその人の姿で遊ぶなよ……?」
お前ってほんと、恐れ知らずだよな……。
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時