《リクエスト》誰のものか理解しているのか?-1-【ディルック】 ページ3
ディルックside
「どうして彼の姿で店に来たんだ」
休憩時間を迎えて店をチャールズに任せた後、僕は彼を裏手に呼び出して壁まで追い込んでいた。
ドンッと彼の隣に腕を叩きつければ、彼はビクリと身を震わせる。紺色の瞳はいつもと違って片方が眼帯に隠されていて、潤んだ顔も、「ひぃ…」と漏れた声もガイアのものだった。
「え、えっと、ガイアに午前中だけ代理を、頼まれて……っ」
「それで?」
「っ、し、仕事は、終わったんだけど…た、偶には客としてお店の空気を味わうのも、いいかなって思って……っ」
「それで君はガイアの姿で来たのか?」
「チャールズに言っておけば、お酒も出されないだろうと、思って……っ」
彼の言葉にどんどん眉間に皺が寄っていく。怯えきった彼を前に、僕は深々と溜息をついた。
「…他の客に酒を勧められるかもしれないだろう」
「で、でも断れば」
「君は今ガイアなんだぞ?一度断ったぐらいで引いてくれると思うのか?」
酒好きの彼が酒を断った。そう大騒ぎされ心配され、逆に飲んでくれと懇願されるだろう。そうなってしまえば彼も飲まざる負えなくなる。
それに彼は酒に弱いんだ。もし人前で酔ってあられもない姿を晒したとなったら……そんなの耐えられない。
いいや、それ以上に。君が僕以外の姿をしている事が気に入らない。
「僕の見ていない所で他の誰かにならないでくれ。君が模倣して良いのは、僕の姿だけだ」
くっと顎に手を添えて顔を上げさせる。涙を貯めた紺色の瞳を見つめながら「分かったね?」と言い聞かせると、彼は何度も頷いた。
「いい子だね、フラッド」
手首を掴んで、ぐっと深くキスをする。顔を赤くして受け入れる彼の口内に舌を突き入れて、ちゅるっと音をわざと立てて舌を絡める。
「んんっ、ぅう〜……っ!』
「……、ふ……っ」
声が変わっていく。こぽりと水の音がして、水面が波紋を広げるように彼の姿が揺れ始める。
ぐっと抱き締めて喉奥まで舌を突き入れるようにキスをしてやれば、ビクンッと体を震わせた彼がゆっくりと僕の姿に戻っていく。
「…っ」
『ぷはっ!はぁ……っ、はぁ……っ』
うん、やっぱり君は僕の姿の方が綺麗だ。
「着替えは持ってきてあるから、二階に上がって着替えてくると良い。罰として手伝ってもらうからね」
『わ、分かった……っ』
君が僕以外の姿になるなんて御免だ。帰ったらしっかり躾けておかないとね。
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時