何でテメーが知ってるんだよ ページ10
土方side
アイツらが行きそうな所なんざ、もう分かっていて。きっとあの場所だろうと、俺はメガネとチャイナをつれてその場所に向かって走っていた。その時だった。
「あら?大串君?」
「!万事屋!?」
って、誰が大串だ!!テメーどさくさに紛れて間違えてんじゃねぇよ!!
「ぱっつぁんに神楽も…どうしたんだよ」
「銀さん!人斬りが、人斬りが総鬼さんだったんですよ!」
「今から後輩の元に行くところアル!サドが先に行ったけど、今の後輩相手じゃ殺されちゃうネ!」
万事屋は切羽詰った声を聞いても平然としていた。それが異様に目に付き、俺は小さく舌打ちした。
「っ、用が無ぇならもう行くからな!」
「まぁ待てよ。ンな丸腰で行ったら死ぬに決まってんだろーが」
万事屋は俺を制止してから、俺に何かを投げ渡した。こりゃあ…小瓶?
「せめて解毒剤でも持って行け。少なくとも死ぬ程苦しむ目には遭わねぇよ」
「…待て、お前…何で月光が持つ毒の解毒剤持ってんだよ…?」
月光を知ってるのは俺とメガネ、チャイナと一部の真選組の奴らだけだ。それなのに、何故…
「…そりゃ、アイツを保護したのは俺だからな。月光の詳細も、何がどうなってるのかも分かってらぁ」
「っ!?な、何で今まで言わなかったんだよ!?」
「言ったらお前ら、全員死んでたぞ?」
鋭く赤い瞳が睨みつける。その勢いに押されて黙り込めば、万事屋は続けて言った。
「俺が保護した時は、月の光を浴びたらでたらめに暴れる程不安定だった。俺だって毒は受けなかったが、骨折ったり怪我だらけだったんだぜ?そんな奴にお前ら会わせてみろ、傷つけちまったらすぐ自分の所為だって言って、今頃自分から死んでただろうよ」
それを聞いてぐっと言葉を呑んだ。確かにその通りだと、思っちまったから。
「…さっさと戻って来いよ。ゴリラが心配するからな」
万事屋はそう言って手を振って立ち去る。手の中にある小瓶を握って、二人を見た。
「…行くぞ!」
「はい!」
「うん…!」
また走り出す。あの場所に向かって。
今度は見捨てたりしねぇ。今度こそ、俺はどちらも助けるんだ……っ!
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年6月15日 2時