漆:息が詰まるような ページ8
伏黒side
圧倒的な数の呪霊を相手にしている時に、その圧迫感は突然やって来た。
「何だ、これ……っ!?」
まるで重い何かが上から落ちてきたかのような、自分の体が押し潰されるような感覚が俺を襲う。
プレッシャー…!?でもこれは、この廃マンションに居る呪霊のもんじゃ、ねぇ……っ!
「(あの人嘘ついたな……っ!)」
何が微弱な呪力だっ!尋常じゃない量の呪霊を引き寄せる上に、姿を見てねぇのに圧迫感一つで身動き取れなくなるじゃねぇか……!
一瞬動きを止めた俺の元に呪霊が群がる。寄って来た呪霊を2体の玉犬が噛み殺していく中、俺は息が詰まりそうになるのを堪えて手を組み印を結んだ。
俺が呪霊に遭遇した時にはこの圧迫感は発生しなかった。つまり釘崎か虎杖のどちらかがコトリバコに遭遇したと思っていいだろう。
「"鵺!"」
なら二人の元に玉犬を送って合流した方が良い…!
足元の影が広がり、翼を広げた鵺が影から飛び出す。奇声をあげて呪霊に襲いかかる鵺に掃討を任せつつ、俺は玉犬を呼び戻した。
「白は釘崎を、黒は虎杖を探してくれ。もしどちらかがコトリバコを見つけていたら、俺が来るまで二人を守るんだ。いいな?」
「「ワン!」」
俺の声に2匹は一吠えした後散り散りに走り去っていく。その背中を見送ってから、俺は影の中から剣を取り出して構えた。
せめて此処に居る呪霊は祓ってから二人と合流したい。コトリバコの呪力に惹かれて集まったのなら尚更だ。
【ふぇjwmぃqx,jgqpじょ!!!!!】
次々と襲いかかる呪霊を斬り倒し、鵺による雷撃が呪霊を焼き尽くす。
取り囲んでも余るほど居た呪霊の群れは、暫くすれば数える程度になった。
「最後…っ!」
百足のような呪霊の首を刎ね落とし、周囲に呪霊の気配が無い事を確認してから、張っていた気を少しだけ緩めるように息を吐いた。
「(残りは居ない……。ざっと四か三級辺りの雑魚って感じだったな…)」
それでも数が多い分手こずった。玉犬を先に行かせたからある程度は大丈夫だと思うが、もし二人の元にも呪霊の群れが押し寄せていたら……。
「…時間かけた方が拙いか」
長引いたらより多くの呪霊が来るかもしれねぇ。とりあえず此処を離れて釘崎の元に行こう。
俺は廃マンションから出ると、鵺と共に釘崎が向かった廃工場の方へと走った。
308人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時