肆拾弐:重大な話 ページ43
五条side
「お疲れサマンサ!今日の訓練は実の負けー!」
『え』
「え、俺達の勝ち!?何で!?」
「ちょーと実がやりすぎたからね。まさか呪霊を恵に入れるとは思ってなくてさ!」
『っ…、すみません…つい夢中になって…』
しゅんとする実もまた可愛いね♪ま、結果は上々だから咎めはしないさ。
「はい、恵から呪霊抜いて!指輪もそのまま!実はまだすこーし呪力あるだろうから、反転術式で皆治してあげてよ」
「アンタ、反転術式使えるの?」
『まぁ、これでも受肉体だからな』
疲れきったように肩を落とす実が恵の方を向く。『戻れ』と一言だけ呟くと、途端に恵はその場に膝をついて盛大に吐いた。口から零れるのは吐瀉物ではなく、真っ黒な泥の塊だ。
「っ…はぁ……ゲホッ…」
「お帰り恵。身体は大丈夫?」
「榎森、お前、ゲホッ!覚えてろよ…っ」
『す、すまん…』
オロオロしながら恵や悠仁、野薔薇の傷を癒す実を見つつ、僕は視界の中に映る呪力を見た。
前より呪力の質も量も増えている。それに、分離してる呪力が少しずつ混じってきてるね。
「(このまま行けば、僕の思惑通りに成長してくれる筈だけど…)」
後は実の気持ち次第…かな。
「…五条先生」
「ん?何、恵」
不意にかけられた声に答えると、恵はじとりと僕を睨みつけていた。
「アンタ、榎森使って何しようとしてるんですか」
…これはまた、言い訳させてくれない目ぇしちゃって。
「そうだね、ちょっと話しておこうか。実の今後にも関わるし」
少しだけ肩を竦めて手を叩く。皆が僕に注目したのを確認してから、口を開いた。
「実はなんと、実の処刑が無くなったんだよね」
『「「…は?」」』
「え、マジ!?」
「マジ。でも条件付きで、その条件がめーっちゃくちゃ難題なんだよ〜。僕としても頭抱えるぐらい」
大げさに溜息をついてみれば、悠仁と実がゴクリと唾を飲んで見つめてくるのが見えた。くぅ〜っ、可愛いね僕の教え子は!
「で、その条件は?」
「上からの条件は二つ。一つ、虎杖悠仁及び、両面宿儺に対する抑止力として榎森実を使用する。そしてもう一つは…」
指を立てて、僕はその胸糞な言葉を吐き出した。
「榎森実をコトリバコとして覚醒後、高専の所持する呪いの封印先として取り扱い、後に封印することだよ」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時