拾玖:仲良くしたい ページ20
虎杖side
榎森が俺達の仲間になって数日経つ。結論から言うと、めっちゃ関わりにくい!
どれだけ挨拶しても全く反応してくれねぇんだよ!仕方ないってのは分かってんだけどさ、やっぱり何も反応無いと次第に寂しくなってくるっていうか……
「どうしたら仲良くなれんのかなぁ〜……」
せめて反応してくれるようになって欲しい。でも冷たい奴じゃないと思うんだ、榎森って。
だって授業の時とか、訓練の時とかさ、誰よりも早く来て準備してるんだよ。それにぼーっとしてるようで、俺達の事ちゃんと見てくれてる気がするんだ。
「と言うわけでどうしたらいいと思う?」
「俺達に聞かれてもな」
「そうよ。アンタに攻略できなくて誰が攻略できるっての」
二人の返答に、俺はがっくりと項垂れた。
今は三人で近くの◯スバーガーに寄って相談に乗ってもらってるんだ。榎森の事は三人で何とかしたいじゃん?同じ一年生なんだし。
俺より二人の方が呪術師の世界に居る期間は長い筈だから、何か解決策でもと思ったんだけど…流石に無理かぁ……。
「肉体と魂が合致してない以上、俺達がどうこうしても無理だろ」
「んぐぅ〜…でも相槌とか打てるじゃんかぁ〜…」
「まず私らが見てるあの体に榎森の意識が反映されるかどうかの話なのよ。今の榎森って配線イカれてる電子機器みたいなモンでしょ」
「どんな例えだよ…」
電気はあるけど機械に電気を通す配線がイカれてるから反応しない的な?
え〜…じゃあ俺が今までアピールしてきたのは全部届いてないってことか…?
「くっそぉ〜…」
無理なのかなぁ……。でも俺、榎森ともっとたくさん話してぇ……。
「お前の気持ちも分かる。でも今の状態じゃ何やっても空回りで終わるぞ」
「うぅ…」
ごもっともです…。あとめっちゃぐっさり来た…。
「…あ、じゃあこういうのはどう?」
不意に釘崎が手を打った。俺は顔を釘崎に向けて「何…?」とだけ声を返す。
「アイツに別の姿を与えるのよ。一時的とはいえちゃんとした見た目があれば、アイツも話せるんじゃない?」
…天才?
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月12日 16時