気になってるんだよ気づけ莫迦 ページ9
志賀side
「ご苦労だったね二人共。突然任せた任務だったのに」
「いえ、この程度苦でもありません」
『首領の命とあれば』
中也と揃って頭を下げると、首領はにこりと微笑まれた。報告前に遺体安置所の死体を乗っ取ってきたから、今はしっかりと自分の身体で動いている。
「そうだ志賀君。予定より少し早いが、君の所に数人新人を送っておいた。今は芥川君と一緒に別室に居るだろうから、挨拶をしてあげるといい」
『はっ。……首領』
「何かね?」
『その中に万が一内通者が居れば、小生に任せて貰っても宜しいでしょうか?』
小生の言葉に首領の瞳が鋭くなる。じっと見つめていると、その御方はニコリと微笑まれた。
「彼らは君の所有物だ。好きにし給え」
『かしこまりました』
好きにして善い……か。それだけ信頼されているとは光栄な事だ。
「では俺はこれで…」
『小生も失礼致します』
「嗚呼、二人共ゆっくり休んでくれ」
一礼し、首領の部屋を出る。却説新人の顔を見に行こうかと歩き出すと、「おい」と腕を掴まれた。
『何だ?』
「……気をつけろよ」
…何に?そう疑問に思ったが直ぐ判った。中也は先程の"蛇の眼"の話をしているのだろう。
最近は小生を狙った輩が多い。今回の取り引き先もそうだった。だからこそ、外から入ってきた人間には気をつけろと言っているのだろう。
『案ずるな、小生の異能があれば容易に警戒できる』
情報収集による解析は便利だ。裏切りを企てる者が居れば直ぐにでも首を刎ねる事が出来る。中也が心配せずとも、己の身は己で守れる。
「…なら善いけどよ」
…歯切れの悪い。渋々腕を離す中也は何処か不満げだ。何がそんなに不満なんだ。
「…人の心配は受け取っておけっての」
『……?何か言ったか?』
「何でも無ぇ!さっさと行け!」
何だ……変な奴だな。しっしっと払われてしまった。仕方ない、気にはなるが新入りの元へと向かおう。
……最近中也はよくおかしな行動に出る。何か意図があってのことなのか…?小生には分からんな。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月20日 2時