検索窓
今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:6,340 hit

嗚呼、その笑顔が気味悪い ページ6

志賀side

意識が肉体に巡る。ぼんやりと見えていた視界が晴れると、男が驚愕の表情を浮かべるのが見えた。


「《暗夜行路》」


床全てが一瞬にして黒くなる。影はこの部屋の床だけでなく、ドアの隙間を縫って廊下、階段、この建物全ての床を支配した。

「"重力操作"」
「っ!?」

ブゥン…と異質な音が鳴る。小生の影に触れた男の体が宙に持ち上がり、そして勢い良く床に叩きつけられた。
別に殺す気は無い。故に動けなくなる程度の圧で許してやろう。

「その、黄金の瞳……っ!真逆、本当に…っ」
「応援は来ないぞ。この建物全ての床を小生が呑み込んだ。小生の影に触れている限り、この建物に居る全員床に磔だ」

眼前まで近づき、仰向けに蹴り上げる。肉に塗れた身体は弾力があって重いものだが、案外転がるものだな。

「はぁ……っ、嗚呼…!なんという幸運か!貴方が、貴方がそうだったのですか中原中也!」
「残念だが小生は中也では無い。小生の名は志賀直哉、ポートマフィアの幹部の一人だ」
「ふふ、ふふふ……っ、そうですか……お会いしたかった!嗚呼なんと美しい瞳か…!」

……何だ此奴は。気持ち悪いな先刻から……。

「そう、そうですか…。貴方が!私の救世主だ!!」
「はぁ……?」

目を見開いた男は未だ薄ら笑いを浮かべている。この危機的状況において何故そう狂ったように……

「貴方の異能が、裏の世界ではなんと云われているか……気になりませんか?」
「……!」
「"神の異能"ですよ!手に入れれば全ての異能を支配下に置く事も、永遠の命を得る事も出来る!なんと素晴らしい異能力か!」
「…御前、それを誰から聞いた」
「おっと、教えませんよ?友との約束ですので」

クツクツと笑う男は尚小生を見つめている。それはまるで人が神を崇めるかのような、光に満ち溢れた狂気的な目だ。

……知っている。小生はこの目を、前にも向けられたような……。

「貴方の異能があれば、私も永遠の命を…!」
「黙れ、小生は貴様などの薄ら汚い肉体に興味等無い」

このまま押し潰してやろうか。そう思った。だが軽く圧を強めたところでふと思いついた。
この男は小生の事を知っているらしい。なら得意の情報収集の異能で奥深くまで探ってやるのはどうかと。

「(自分の事を知るだけだ。直ぐ終わらせよう)」

何故そこまで小生の異能が狙われるのか、謎が解けるかもしれない。
小生は男を足蹴にしたまま、男の影に深く意識を集中させた。

片鱗の欠片→←そんな話聞いた事も無い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
94人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 男主 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月20日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。