合同任務とは珍しい ページ3
志賀side
び、吃驚した……。
咄嗟に耳を塞いだ手をゆっくり降ろすと、ドアを開けて入ってきた人物を確認して軽く溜息をついた。
「仮にも病み上がりだぞ……？もう少し小さな声で入って来れないのか、中也」
「煩ぇなァ。手前はどうせ身体乗り換えるだろうが。…つーか何だよ、折角昏倒してる顔見に来てやったのにもう回復してンのか」
あからさまに残念がるな。と云うか何しに来たんだ御前は。
はぁとドアの前で落胆する中也をジトリと睨んでやると、「そう怖い顔すンなよ」と肩を竦めた。
「寝起きの処悪いが、俺と手前で任務だ。新しく取り引き先になった組織との対談だと」
「……小生に相手の真意を探れと云う事か」
「そう云う事だ。芥川に入ったばっかりだろうが、手前は俺の影に潜伏しろ」
成程…。中也の影に潜伏した状態で情報収集しろと云う事か。確かに小生の異能であれば相手の思考や基礎情報を読み取るのは容易い。
「死体に入る間も惜しむ程の急用ならば致し方無い。同行しよう」
一度肉体に繋いだ意識を離さねば……。
影に意識を集中させると、ふわりと浮遊感が襲う。先程と同じだ。
龍の影から抜け出すと、龍が軽くふらつく様子が見えた。
『"大丈夫か？"』
「はい…。…未だ突然意識が戻る感覚に慣れていないだけです……」
「分かるぜ。俺も昔一回此奴に乗っ取られた事があるが、意識はあるのに身体が勝手に動く変な感じだよな」
そんな感覚なのか…。意識が残っているのは感じていたが、やられる側はそんな感じなんだな。
「…それにしても手前、その状態だとホント可愛いよな」
体をぐんと持ち上げられる。皮の手袋越しに感じる温かな体温を全身に感じると、目の前には空のような綺麗な青い瞳が広がっていた。
『"突然何をするんだ"』
「いや？異能体の時の手前は可愛いと思ってよ」
何を言い出すんだ中也は。別に可愛さ等無いだろう。
云うなら今の小生の姿は小蛇だ。つるりとした鱗の一つも生えていない、絵に描いたような黒さの蛇に見えるだろう。
顎を掌にぽんと乗せてやると、「小動物じゃねぇか」とケラケラ笑われた。
『"喧しい。さっさと行くぞ"』
「あっ！……たくっ、つれねぇなァ」
スルリと掌から落下し、そのまま影の中に入る。残念そうな中也を見つつ、龍に待機を命じて中也と共にその場を離れた。
探り合いに強いのは→←それはとても懐かしく、親しみのあるものだった
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年5月20日 2時
