動き出そうとすれば向こうも動き出すものだ ページ24
中島side
ハイエナの牙の一件から何事も無く数日が経った。
探偵社は軍警の協力の下、サイバー犯罪組織ティーフの制圧へと乗り出していた。
ハイエナの牙が壊滅してしまった以上、今度は"ティーフの検挙"を主目的に置いて動くしか無い。
本来捕まえる筈の無い組織ではあるけれど犯罪組織に変わりは無いし、ハイエナの牙と関わりがあると云う理由で押し通すしか無かった。
「"ついでにティーフを餌に志賀も捕まえればいい。こっちが先回りすれば楽でしょ"」
「…って乱歩さんは云ってましたけど……」
「流石にこの高さのビルに二人で潜入は……」
く、首が痛くなりそうだ…っ!
遙か高く僕達を見下ろすビルを前に、僕達はらしくもなく震えていた。だって真逆こんな大きなビルが拠点だなんて思わなかったんだ……!!
「だ、大丈夫だよ敦君…!後ろには軍警の人も控えてるし…!!」
「そ、そうですよね!大丈夫ですよね!!」
だ、大丈夫な筈…!えっと、取り敢えずやる事のおさらいを…!
「谷崎さんの《細雪》で中に侵入。そこから中に居るであろうティーフの元締めを確保、ですよね…?」
「うん。乱歩さんの推測だと、幹部より元締めを真っ先に殺しに行くだろうって話だからね。僕達が先に捕まえて軍警の人に元締めを引き渡す。後はその部屋で待っていれば……」
「…元締めを殺しに来た志賀が現れる…」
「来たら太宰さんと国木田さんに連絡して、志賀も確保…だと思う!」
「怖いです谷崎さんんっ!!」
「僕も正直出会った瞬間死んじゃいそうで怖いよ…!!」
でも、成功すれば切り裂き魔事件も終わって死人が出る事も無くなる……。
…っ、頑張れ僕!死なない事だけを優先しろ!!
「…行こう、敦君…!」
「はい…っ!」
近くの茂みから出てビルへと歩いていく。…やっぱり正面には警備員が二人居るな…。
「《細雪》」
谷崎さんが異能を発動する。さらさらと降る雪の中、僕達は気づかれずに中へと侵入した。
「?何で自動ドアが開いたんだ?」
「さぁ?故障じゃないのか?」
善かった…!自動ドアの故障だと思ってくれてる…!
「元締めが居る部屋は50階だから、エレベーターを使って行こう」
谷崎さんとエレベーターを待つ間、少し早くなる心音を落ち着かせるように深呼吸する。
…またあの人に出会うんだ、覚悟しておかないと。…今度はもう、逃されるなんて事にならないようにしないと……!
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年1月10日 1時