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慈悲と云う名の断頭台 ページ13

国木田side

……嗚呼、なんと云う事だ。
目の前の男が話した言葉にグッと胸が軋む。拳銃を握る手に力が籠もり、目の前の男への怒りの感情が湧き上がる。

『小生の獲物に関わる者、任務の邪魔になりうる者は全員殺す。そう決めていてな。いやぁ、大の男二人がみっとも無く泣き喚く姿は滑稽で面白かったぞ?嗚呼そうだ、娘も後で殺してやらねばな。父が先に逝ってしまうのは寂しいだろう』

平然と話す男は手にしたチラシを懐に仕舞い、口元を覆うマフラーを少しだけ上げた。
却説とばかりに肩の力を抜いて俺の方を向く其奴に、俺は震える口から声を振り絞るのが精一杯だった。

「…その殺した二人が、お前の足元に転がる人達か」

俺の問いに、其奴は微笑んだ。優しい眼差しを湛えながら『そうだ』と一言口にする。
血濡れた部屋に似合わぬその笑顔に、ゾクリと背筋が震えた。

此奴は…何処か可笑しいんじゃないのか?人を殺しておいて何故そんな笑顔を浮かべられる?
殺人と云う行為に対して、いや、生き物へ抱く倫理そのものが何処か外れているような印象を受ける。
云うならば無邪気。危機として蝶の翅を捥ぎ、胴を投げ捨てる子供のような……

『挨拶が遅れたな。小生は志賀直哉、ポートマフィアが幹部の一人』
「な…っ!?」

ポートマフィア、だと…!?

「敦…っ!」

横目で俺の後ろに待機する敦を見ると、敦は口元を押さえていた手を離し、少し青い顔のままキッと目の前の男を、志賀を睨みつけていた。

「お前が勝手に命を奪っていいような人達じゃなかった筈だ…!」
『そうだな。だが小生の仕事の邪魔だ。御前達もそうだぞ?小生に敵意を向けると云う事は、小生の邪魔に自らなりに行くと云う事だ』

ガンッと激しい音が鳴る。振り返ると、部屋の入口を塞ぐように付近に散乱していた棚や椅子が積み重ねられていた。
何時の間に……っ!?先程まで何の音もしていなかった筈だ…!!

『今日はおつかいがあるからなぁ。殺しはせずとも、痛い目は見てもらうとしよう』

突風と共に文字が舞う。異能力者特有の文字の浮かぶ異能の帯が奴の体の周囲を回り始めた。くそっ、矢張り異能力者か……っ

「構えろ敦っ!!」
「はいっ!!」

部屋中を埋め尽くす黒と紫の光の中、奴の山吹色の瞳が一瞬だけ輝くように色を濃くしたような気がした。



『《暗夜行路》』

未知の異能力→←優しいからこそ見送ろう



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作品ジャンル:アニメ
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年1月10日 1時

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