第九話 茶漬一杯 ページ10
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「うわぁ、すっごいおいしい!!本当、ありがとうございます、えーっと」
「あぁ、私の名前は太宰治。太宰でいいよ」
軽く頬杖をついてにっこりとAに微笑みかける太宰。
そんな隣の自 殺マニアを横目でにらみながらおごるのは俺だがな、と独歩は舌打ちをする。
だいたいなぜ俺がおごらなければならない。恨めしい奴め…
口ではそういいながらも再度目の前でお茶漬けを頬張るAを見て以前の敦と重ね合わせると、自然と独歩の頬は緩んだ。
そして、気づかれまいとそっぽを向くのであった。
「ごちそうさまでした〜!」
気が付けば茶碗の数は両手では数え切れないほどになっていた。
この数と反比例して俺の財布の厚みは減っていくんだな。
独歩が右手で眉間を抑えたところで、Aが続ける。
「あのですね、おこがましいと思うかもしれませんが………」
「なんだ?」
もうこの時点で十分おこがましいがな、と独歩は心の中で続け文句にケチをつける。
「…?」
太宰と敦はお冷を飲みながら頭の上にハテナマークをつけた。
「その、ですね…………」
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作者名:ソルジャー | 作成日時:2016年1月2日 3時