第十六話 飲酒運転 ページ17
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「おおお!矢張りあの娘さんは美しい...。」
太宰は口説きつつ独歩と同じくビールを頼む。
独歩が小僧は何がいいと聞くので、敦は遠慮気味にオレンジジュースを頼んだ。
一方でAは要らないです、と言うといつの間にか机に伏せて寝てしまった。
「何だろうな...Aちゃんには、どこか違和感を感じるのだよ」
美人な店員がビールを持ってきたところで、太宰は顎に手を置いて真剣な顔つきになった。
「同じく。どこかおかしい。小僧の時のように何か重大なものを持っている気がしてならん。」
独歩も珍しく肯定してうなずいて見せる。
敦は茶漬け屋の時から気になっていた、と話した。
「ふーん、なるほどね。どこか、秘密を隠し持っているかもしれないね」
太宰は頬杖をつくと、真顔でビールを一口飲んだ。
Aの話は置いといてしばらく談笑していると、彼女が目をこすりながら静かに起きる。
明らかに寝ぼけていて、体を左右にユラユラと揺らしながら何とか姿勢を保っている。
そんなAに、
「お、起きたね!はい、Aちゃんにもビール!!」
と太宰がふざけてジンジャーエールを差し出す。
すると、零しそうになるくらいにうとうと無心に飲んでいた彼女の顔が一変して火照ってきた。
「ンフ...ウフフフフ」
あれっ......
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作者名:ソルジャー | 作成日時:2016年1月2日 3時