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君は堕ちてはいけない:kwkm ページ29

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大学で出会って、付き合って、就職して、結婚して。

夫とは、順調にステップアップしてきたように見えていると思う。
それが実際の夫婦像かどうか、は置いといて。



今目の前にいるのはそんな夫ではなく、足りないものを埋めてくれる彼だった。


「帰らんでええの?」
「今日はあの人遅いから」
「連絡あったん?」
「今朝言われた」
「そうなんや」


座りながら抱き締めてくる彼と出会った頃は、まさかこんな関係になるとは思ってもみなかった。
少し無口な大学生と年上の人妻という、ただそれだけだったのに。

互いに理由はあったのかもしれないが、全てはタイミングである。
出会いも、始まりも、そのとき必要としていたからに他ならない。
きっとそれ以上でも、以下でも無いのだ。


「今日はやけにくっついてくるね」
「これはこれでええやん」
「いつもは隣に座るぐらいなのに」
「Aさんがして欲しそうやったから」
「えぇ、そうかなぁ」


いつの間にか彼といると安らげるようになっていた。
決して家で夫と過ごす時間が窮屈な訳ではなく、それはそれで安心できる生活を送っている。

単に彼と過ごす時間が好き、なのかもしれない。


「Aさん」
「ん?」
「俺との関係、終わらせる気ある?」
「うーん……今は、とりあえずこのままかなって思ってる」
「旦那さんとは?」
「それもまぁ、継続するのかな」
「随分悪い女やね」
「気付いたらこうなっちゃっただけだよ、どっちも必要でね、」


全て本当のことだった。
彼と出会うまでは夫が全てだと思っていたし、彼と関係を持ってからは彼のことも大事に思っている。
どちらが、というのは無い筈で。


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キタ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます。まさしくミッシェルの「世界の終わり」を意識していましたので、分かっていただけて嬉しいです。拙い文ばかりですが、また更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。 (2019年10月29日 0時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - はじめまして。「終焉のエピローグ」を読んで、初めてコメント致しましたm(_ _)m。ミェルガンエレファントの「世界の終わり」のような世界でquizknockとミッシェルが好きな私にはたまりません(*^-^*)。これからも楽しみにしています(^-^) (2019年10月28日 22時) (レス) id: 4daa7caae5 (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます。前作からということで長い間ご贔屓にしていただけて有難い限りです。例の件はこういうジャンルではままあることですので、仕方ないですね。なるべく更新し続けていけたらと思いますので、今後もよろしくお願いします。 (2019年10月14日 2時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 初めまして、コメント失礼いたします。前作からずっと読ませていただいておりまして、どのお話も読みごたえがあり美しい文章にやられております。騒動があったなかで続けてくださる数少ない作者様の一人でいらっしゃるキタ様が憧れです、これからも応援してます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - 佐野様>>コメントありがとうございます。良く見るお名前にびっくりしていますが、前作からお読み頂けていたなんて光栄です…!纏まりのない話ばかりですが、色々捻り出して更新してみたいと思います。佐野様の作品も楽しみにしています。 (2019年10月6日 22時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キタ | 作成日時:2019年9月26日 19時

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