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「普段ああいうスキンシップがあまりないから、ドキッとします、いきなりされると」
「そういうのしたいの?」
「恋人なら、まぁ、少しはしたいかなぁって…」
「へえ、そうなんだ」


徐に立ち上がった河村さんが、また私を抱きしめる。
やっぱり今日は何かがおかしい。


「もっと増やした方がいいのかな、こういうの」
「え?」
「どこまでが受け入れてくれるのか分からなかったから、スキンシップも控え目にしてたんだよね」
「そうなんですか?」
「そうだよ、やりすぎて嫌われたらどうしようもないじゃない」


まさか、そんなことで彼を嫌うなんてありえないのに。

こちらの気持ちを伝えるべく、彼の背中にそっと腕を回す。


「私、河村さんともっとこういうことしたいです」
「積極的だね」
「伝わっていなかったみたいなので」
「嫌わないの?」
「ありえません」

そうはっきり断言すると、上がる口角を抑えきれない彼と目が合った。

「本当に?」
「本当です」
「幻滅しないでよ」
「するわけないじゃないですか」



じゃあ手始めに、と、軽い口付けが雨のように降り注ぐ。



「河村さんは、あんまりこういうことするタイプじゃないと思ってました」
「僕の愛はマリアナ海溝より深いからね、これぐらいじゃまだまだ伝えきれてないよ」
「それならもっと、たくさん伝えてください」
「言ったね」
「言いましたよ」

ふふっ、と笑い合って大人しくベッドまで手を引かれていく。



何から伝えようか、と、横たわる私の傍らで彼が呟く。
どんなものでもいいのにな、と口には出さずに答え、そっと彼の手を握りしめた、そんな夜。

.

僕と私の茶番:sgi→←手探り:kwmr



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キタ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます。まさしくミッシェルの「世界の終わり」を意識していましたので、分かっていただけて嬉しいです。拙い文ばかりですが、また更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。 (2019年10月29日 0時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - はじめまして。「終焉のエピローグ」を読んで、初めてコメント致しましたm(_ _)m。ミェルガンエレファントの「世界の終わり」のような世界でquizknockとミッシェルが好きな私にはたまりません(*^-^*)。これからも楽しみにしています(^-^) (2019年10月28日 22時) (レス) id: 4daa7caae5 (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます。前作からということで長い間ご贔屓にしていただけて有難い限りです。例の件はこういうジャンルではままあることですので、仕方ないですね。なるべく更新し続けていけたらと思いますので、今後もよろしくお願いします。 (2019年10月14日 2時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - 初めまして、コメント失礼いたします。前作からずっと読ませていただいておりまして、どのお話も読みごたえがあり美しい文章にやられております。騒動があったなかで続けてくださる数少ない作者様の一人でいらっしゃるキタ様が憧れです、これからも応援してます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
キタ(プロフ) - 佐野様>>コメントありがとうございます。良く見るお名前にびっくりしていますが、前作からお読み頂けていたなんて光栄です…!纏まりのない話ばかりですが、色々捻り出して更新してみたいと思います。佐野様の作品も楽しみにしています。 (2019年10月6日 22時) (レス) id: 287acd08f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キタ | 作成日時:2019年9月26日 19時

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