第８話 「ユチョン」。 ページ8
初めて聞いた彼の声。
思っていたよりも低い声に
ドキッとしてしまい
"悪いことをした"と思いながらも
彼の口元や喉仏をチラッと見てしまう。
そして「大丈夫っす」と言いながらも
苦笑いになる彼に気付く。
A「弁償します(汗)」
そう言いながら財布を開いて
今拾った小銭を何枚か取り出す私を
彼は焦ったように止めた。
「ほんとに(^^) 気にしないでください(笑)」
A「でも！汗 もう吸えないでしょ？これ(汗)」
「平気(^^)」
A「美味しくないかも！汗」
「大丈夫(笑)」
「折れたタバコは不味い」と
あの人がいつも言っていたのを
ふと、思い出した。
そして余計に申し訳なくなり
私は彼の「大丈夫！」という言葉も聞かず
お金を突き出した。
「ユチョン！」
彼の友達が何人か
発車しそうな電車の前で待っている。
"ユチョン"と呼ばれて振り返った彼は
返事をするように手を挙げた。
A「……」
…友達も、彼も…
日本人じゃないの…かな…？
彼はもう一度私を見ると
私の手を握って立ち上がらせた。
そして「気にしないで！」と笑うと
発車を知らせるベルの中
友達の元へ行き電車に飛び乗った。
A「……」
私は次第にスピードを上げて
発車していく電車を見つめながら
手に握られた数枚の小銭と
足元に転がる折り目のついた
タバコの箱を眺めていた。
｜
｜
A「―――…」
人が少ない電車に揺られながら
なんだかドキドキと
動揺する気持ちに戸惑っていた。
A「…はぁー…」
ソファーに座ってネクタイを緩め
タバコをくわえて火を点けるあの人。
私はスーツの上着を掛けながら
その姿を眺めている。
…私の大好きな姿。
些細だけど、とても幸せな時間。
この胸のドキドキは
しばらく見ていないその姿を
思い出したからなのかな。
それとも、最近気にかけていた
あの彼の声が耳に残ってるからなのかな…
"ユチョン"
あの彼の名前は、ユチョン。
彼の笑顔を初めて見た。
いつも項垂れてばかりだったから…
もう悩みは解決したのかな。
彼は…どんな風に
このタバコを吸うんだろう…
私はボコボコのタバコの箱を見ながら
まだ見ぬ彼のタバコをくわえる姿を
あの人の姿に重ねて想っていた。
第９話 ユチョンの彼女。【JJ Side】→←第７話 出会い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
natsu(プロフ) - ﾁｬﾐloveさん» Beginよりも短く終わる予定…ですが(笑)またお付き合いください＾＾ (2012年5月6日 23時) (携帯から) (
レス) id: d2dbf80673 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：natsu
| 作成日時：2012年5月6日 1時
