第19話 見て見ぬ振り。 ページ19
A「(*^^*)」
「……Zzz」
彼は疲れ果ててるのか
お風呂に入って食事を済ませたあと
すぐに眠ってしまった。
仕事の都合上あまり帰っても来れず
連絡もごく稀…
たまにこうやって会える時が
本当に幸せだと感じる一時。
この子どものような寝顔が
私は学生の頃からずっと好きで…
―――― チュッ
眠る彼の瞼にそっとキスをすると
彼は目をギュッと瞑り、また眠る。
A「相当疲れてるのね(^^)笑」
寒くないように肩まで布団をかけて
彼の脱ぎっぱなしの上着や
無造作に置いてある鞄を整理する。
すると、開いたままの手帳を見つけた。
そこにはぎっしり詰まったスケジュール。
普段こんな風に忙しい毎日を
過ごしているんだな…
ビジネスホテルに泊まっても
このスケジュールじゃ寝る時間は
ほとんどないんじゃないかな。
A「……？」
ふと、ある日のスケジュールに
目が止まった。
"20:00 ○○レストラン"
会食でホテルの高級レストランを使うのは
今までにもあること。
けれど私が気になったのは
その文字が赤い文字だったこと。
そして…そこには
学生時代、私と撮るのも拒んでいた
女の人と２人で写ったプリクラ…
A「……」
隣の女性は私よりも５歳は年下であろう
若くてキレイな女の人。
その食事の次のスケジュールは
昼過ぎから会議…
しかしそのスケジュールには
赤く訂正された印があって
"OFF"と書かれていた。
…そっか。
泊まったんだね、このホテルに
この女の人と…
A「……」
これが初めてではなかった。
家に帰って来れないほど
忙しく働いている彼に
プライベートな時間があるわけもなく
そんな彼に"浮気しないで"と
束縛をするのは追い討ちをかけるだけだと
私は見て見ぬ振りをしてきた。
けれどこうやって
その事実を目の当たりにすると
どうしようもなく胸が苦しくなる。
A「……」
…何度浮気を繰り返しても
最終的に私の元へ帰ってくるなら
私はそれでいい…
それがいいんだ、きっと…
そうやって自分に
毎晩のように言い聞かせていた。
A「おやすみなさい…」
「……Zzz」
私は彼の柔らかい髪を撫でると
今回も見なかったことにして
手帳を閉じてそっと鞄にしまった。
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natsu(プロフ) - ﾁｬﾐloveさん» Beginよりも短く終わる予定…ですが(笑)またお付き合いください＾＾ (2012年5月6日 23時) (携帯から) (
レス) id: d2dbf80673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：natsu
| 作成日時：2012年5月6日 1時
