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「ジアヌナ! 濡れちゃいますよ。こっちで待ちましょう」
ホソクの声で我に返った。
いつの間にか雨が降り出していた。
ぽつりぽつりと雨粒が落ちる度に、足元の葉の緑や土の茶色が色濃くなっていく。
ソウルの病院内にある中庭だった。
小さな庭だけれど、花壇はよく手入れされて、背の低い木々も植えられていて自然豊かだ。
それだけにここが病院だなんて思えなかった。
でも周りを見渡すと、白くて無機質な大きな建物にぐるりと囲まれている。
私以外の子達は少し離れた軒下へ移動していた。
ホソクが大きく手を振っている。
目を細めて確認すると、立っているのは5人だった。
テヒョンとソクジンさん以外の5人。手続きへ出かけた2人を待って随分経つ気がするが、まだ戻ってきていないようだった。
小走りで5人のところへ向かうと、皆自販機の向かいに置かれたベンチにバラバラと座った。
ナムジュンが持っていた缶コーヒーを渡してくれた。冷えた手には熱いくらいだった。
「どうぞ、ヌナ。さっきジンヒョンからお金を預かったんです。出世払いでいいそうですよ」
こんな時だけれど少し笑ってしまう。
ナムジュンが微笑むと、両頬に綺麗なえくぼができた。
「ジンヒョンからカトクがきてました。まだ少しかかるみたいなので、ゆっくり休んでて、とのことです。
皆ほとんど寝てないですよね?」
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kaya(プロフ) - megcokinoyama02さん» はじめまして。嬉しいお言葉ありがとうございます! 最後のシーンは特に難しかったのですが、どんな状況にも光を灯してくれるテヒョンさんの優しさ、愛らしさを少しでも描けていたのなら嬉しいです。 お読みいただきありがとうございました。 (2022年9月17日 23時) (レス) id: 21e8868223 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - Kojima-Yurinaさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません。お読みいただきありがとうございました!ゆっくりではございますが、別作品も書いていきますので、またお楽しみいただけましたら嬉しいです。 (2022年9月17日 23時) (レス) id: 21e8868223 (このIDを非表示/違反報告)
megcokinoyama02(プロフ) - 初めまして。夢中で読みました。すごく奥行きがあるお話で惹き込まれました。最後のシーンは景色や気温、シリアスな雰囲気とチグハグな格好のテヒョンを想像して愛おしくなりました。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page41 id: c550134bf4 (このIDを非表示/違反報告)
Kojima-Yurina - 凄く感動するお話ですね 。゚(゚´Д`゚)゚。 これからも頑張って下さい‼︎٩( 'ω' )و応援しています‼︎ (2022年8月22日 15時) (レス) @page41 id: 3d3291bd67 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - ruru_chandayo00さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!更新がゆっくりで申し訳ありませんが、完結まで見守っていただけますと幸いです。 (2022年7月8日 18時) (レス) id: 11e4803e78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaya | 作成日時:2022年6月23日 19時