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背向かいで座っている形なので、Aたちの会話は丸聞こえだ。しばらく世間話をしていたが、ランが切り出した。
「ねぇAとイヘチャンって幼馴染なんでしょ？」
俺？
「ああ、あいつね…」
「しょーじきさ、どう思ってるの？」
「どうって…」
「私さー、絶対イヘチャンAのこと好きだと思うんだよねー」
またこれか。最近どいつもこいつも同じこと言いやがる。
「ないない、そんなのありえないって」
そーそー、さすがA、よく分かってる。
「Aはどうなの？」
「私？」
「うん、イヘチャンのこと」
なんでか、ちょっと気になる。ちらっと後ろを見ると、Aは焦っているわけでも、照れてるわけでも、頬を染めてるわけでもなくて。ただ、平然としていた。
「そんなの決まってるじゃん」
あいつは…俺のこと…
知らず知らずのうちに手に力がこもる。やけに胸がドキドキしていた。なんで。なんだ、これ。
「あいつなんか…
だいっきらいだよ！」
えっ
「もーやだよあいつ、意地悪ばっかしてくるし」
「そうきたか…まあ至極当然の答えではあるな…おい、お前、なんで驚いているんだ？まさかAがお前を好いていないなんて、想像もつかなかったのか？」
ミナはなんだか楽しそうだ。俺は、ミナの言ってることがよくわからない。頭がそれどころじゃない。
たまらなくなって、振り向いてソファから乗り出した。目があったAはすごく驚いた顔をしていて、なんだそれ、むかつく。ずるい。恩知らずだ、ひどい。不公平だ。俺は、こんなに、
「お前のことが好きなのに！！」
運命が変わるまで、あと一秒。
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作者名：あ | 作成日時：2023年11月19日 22時
