Daydreaming (ページ23)

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ヘチャンはふらふらとマークの方へ近寄っていく。
「おい、いつまで寝てんだよマクヒョン」
膝を折りマークの顔を覗き込む。乱暴にゆすってもマークは起きない。ヘチャンは舌打ちした。
「眠り姫じゃねぇんだからっ」
手にはいつのまにか銃が。荒々しい動作でカチャリと銃口をマークの額に押し付ける。
「？！待って、危なっ」
私が止めに入ろうとしたところをチョンロは制した。非難の目を向けると、大丈夫だから。まぁ見てなって、と呟く。視線を戻すと、ヘチャンの手が引き金にかかろうとしていた。
「あっ」
一瞬のことだった。かばりとマークが起き上がって、それから。雲の上に押し付けられたヘチャンと上から銃を突きつけるマーク。気づけば完全に立場が逆転している。ヘチャンは銃を持っていない。あの一瞬でマークは銃を奪ったのか。
「あはははっ」
ヘチャンは笑っていた。劣勢にも関わらず、嬉しそうに。
「すっかり平和ボケしてるかと思ってたけど、勘は鈍ってないみたいだねぇ」
「黙れ。お前、わざとだろ」
鋭い眼差しを一身に受けて、ヘチャンはまた笑った。ひとしきり笑って、すっと笑みを消す。
「わざとって何が？ヒョンが攻撃にも気付けないアホに成り下がってたなら、俺は本気で撃ってたよ」
地を這うような低い声にマークは一瞬目を見開いた。が、すぐに疑わしげな目つきになる。
「お前な、そうやって誤魔化すのやめろって。俺は騙されないからな。絶対俺に嫌がらせしてるだけだろ」
言い合いを始めた二人をよそに、チョンロに問いかける。
「とてもじゃないけど皆んなが言っていたような温厚な人には見えないんですけど…」
「そうかな？マークは優しいよ。ただ強いだけで。おーい、マクヒョン！」
マークはぱっと振り向くと、二度三度まばたきをした。その度に、剣呑な目つきが穏やかになってゆく。
「チョンロ！と、A！」
にっこり笑って、こちらに駆け寄ってくる。なるほど、確かに優しそうな人だ。マークの後ろにヘチャンが続く。
「猫被っちゃって。さっさと本当のこと話しちまえばいいのに」
「………」
「誠実さを売りにしてる男が隠し事とはねぇ」
「………」
「今日こそヒョンの本性を皆んなの前で暴いてやろうと思ってたのに」
「おまっやっぱりわざと…！」
「うわーん怖い！A、マクヒョンがいじめてくるう」
「っお前ほんと…！」
マークを振り切ってこちらに駆け寄ってくるヘチャン。その陰でマークは拳を握りしめてなんとか怒りを堪えていた。