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ラブレター hc ページ1
※喫煙描写があります。苦手な方はご注意下さい。
ぴんぽーん。
間の抜けた電子音がしんとしたバルコニーにひびく。このアパートのさびれたオンボロ加減とはアンバランスでかえって不気味だといつも思っていた。返事がないのはいつものことだが、一応の礼儀としてチャイムは鳴らすようにしていた。半は意地だ。正直めんどくさい。でもここで踏みどどまらなければサークルの先輩と後輩という関係がとうとう崩れ去ってしまいそうだった。杞憂だけれど。来るもの拒まず、去るもの追わずの先輩だ。ほら、玄関の鍵がかかっていないのだっていつものことだ。いくら無用心だって言っても聞きやしない。先輩の中での私の存在はそんなものなのだ。それなのに懲りずに先輩に近づく私は馬鹿だ。飛んで火に入る夏の虫ってやつ？しょうがない、惚れた弱みだ。諦めることは、もうとうの昔に諦めた。
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作者名：あ | 作成日時：2023年11月19日 22時
