You and me (ページ4)

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｢もし、そうだとしたら
先生は俺に何をしてくれるの？｣

頬杖をついて、気怠そうにする
私を試すようなその態度。

紫耀くんはいつだってミステリアスで、強気で
それでいてこちらから強く踏み込めば
脆く崩れていきそうなほど繊細にも見えた。

｢じゃあまず、何をしたらいいのか教えて。｣
｢･･････。｣
｢平野くんからしたら、私なんて頼りない大人かも
しれないけど･･･一応教師だし、大人だし
ひとつくらい役に立てることあるかもだし。｣
｢･･････ないよ。｣
｢え？｣
｢先生が俺のために出来ることなんて、ひとつもないよ。｣

そう言い切る紫耀くんに
また、言葉に詰まりそうだったけど

｢それは、平野くんの決めつけでしょ？
何も話してくれないから、何も出来ないだけで
平野くんが悩んでることを話してくれるなら
私は全力でサポートするつもりだし。｣

ドラマで見るような、綺麗事の台詞だけど
私はそんなドラマの中の熱血教師に憧れて今の仕事に就いたんだ。

私を見下すようなその瞳だって
本当は自分を強く見せる為の飾りなのかもしれない

人を試すようなその態度だって
本当は不安な心を隠すための鎧なのかもしれない

ねえ、いつだって無表情で寂しげな彼は
本当はどんな顔をしてどんな時に笑顔になるんだろう

彼の表情がコロコロ変わるのを見てみたい。
くだらない事でケラケラ笑う彼の笑顔を見てみたい。

色の無い瞳に、綺麗な景色を映し出せたなら
私はこの場でやっと存在意義を見い出せる気がするんだ。

｢じゃあさ、ひとつ頼み事があるんだけど｣
｢･･････なに？｣
｢仕事終わってからでいいから○○駅の改札前まで来て。
あ、俺の連絡先は名簿に載ってるから知ってるでしょ？｣
｢･･･知ってるけど、私用に使うのは、｣
｢そういう、くだらない事言うなら
中途半端に教師ぶったりすんのやめてくれる？｣

ほら、また鼻で笑う。
だけどそれも誰かに少しでも期待した自分に
傷つきたくないからなんじゃないかな。

｢分かった。今から散々教師ぶってあげるから
覚悟しといてよ？○○駅ね、了解。
絶対に行くから待っててね。｣

彼が抱えている悩みは何なのか。
それに対して私に何が出来るのか。

そんなの、分からなかったけど
隠しきれない寂しさを抱えた彼を放っておく事なんて出来なかった。