You and me (ページ2)

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紫耀くんとの出会いは、運命とか奇跡とか
そんな風に呼べるものではなく

お互いに惹かれ合うものなら
それは世間的には、“ 間違い ”にしかなり得ない始まりだった。

｢平野くん、だよね？
･･････その傷、どうしたの？｣

教師になって、初めて持つことになったクラスの生徒。

紫耀くんは、うちの一人にしか過ぎなかった。

生徒に対して
特別な感情なんて、決して持ち合わせてはいけない。

そんなこと、分かりきっていたし
特別な感情が生まれることなんて
有り得ないとも思ってた。

それなのに＿＿＿＿＿＿＿

予鈴が鳴り終わった誰もいない階段でひとり、
小窓から差し込む日差しに目を細める横顔に
思わず足を止めた私を、ゆっくりと振り返る紫耀くん

｢･････････先生は、俺の事救ってくれる？｣
｢え？｣

唇の横に痛々しい赤紫の痣を作った紫耀くんが
酷く冷たい目で私の心を凍り付かせた。

目が合って、怖いと思ったのは初めてだった。

なんとも言えない独特な空気感を纏っていた紫耀くんに
どんな表情で、どんな言葉をかけたらいいのか
分からなくて、ただ見つめ返すことで精一杯だった。

この目を逸らしてしまったら、
もう二度と助けを求めてくれないような気がして
必死に頭の中で言葉を探す私に、紫耀くんは言った。

｢大丈夫だよ、期待なんてしてないから。｣

と。

感情の伝わってこない声色で
ただそう吐き捨てて、戸惑う私を鼻で笑ったあと
何も言えないままの私に背を向けた紫耀くん

その背中に、なんと声をかけるべきだったのか。

それは、今も分からないまま。