星空を眺める時には。

４６：単語帳。 ページ46

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先輩の温かい手のひらの感触が、私の心を震わせる。





｢Aちゃんの手、ちっちゃくて可愛いね。｣

｢そんなこと･･･ない、です。｣

｢なんか、顔赤いよ？｣




徐々に熱を帯びてく頬は、先輩の甘い言動のせいだって
そんなの分かってるくせに。





｢やっぱり、先輩は意地悪です。｣

｢え〜？なんでよ。｣





納得いかないって顔してるけど
先輩はどんな女の子よりもきっと小悪魔だ。






｢こうなったら、とことんシゴいてやりますよ！｣





これ以上顔が赤くなる前に、
握られた手を解いて勉強道具が入ってるリュックに手を伸ばす。

本当は、勉強なんてする気なかったけど
この空間でずっと先輩と一緒にいたら
いろんな意味で頭がおかしくなりそうだから。




気の進まなかった勉強も、胸焼けしそうなこの状況から
抜け出す手段としては持ってこい。



先輩の無自覚な思わせぶりに呑み込まれてしまえば
きっと私も、先輩のことを･･････。



そうなってしまえば、これまでみたいに
先輩に仲良くしてもらえなさそうな気がして。









｢俺、Aちゃんにシゴかれちゃうの？｣

｢かっこいいからって甘やかさないですよ。｣

｢厳しいな、Aちゃんは。｣






困ったように笑う先輩は、
本当に困ったことに部屋になんの教材もなくて。

勉強するにも、教科書やノートがないなら進めれないし
早速足止め状態。





｢なにそれ、単語帳？｣

｢あ、はい。よく使われる単語を挟んでて。｣





リュックから取り出した単語帳に興味を示した先輩が
ペラペラと適当に捲ってる。

英単語を覚えるくらいなら、先輩も気楽にできるかな。

英語のテストに役立つかもしれないし。




｢これ、先輩に貸すので全部覚えてみてください。｣

｢え？無理でしょ、こんなにたくさん。｣

｢先輩なら、大丈夫ですよ。
基礎的な単語だし、覚えて損は無いですし。｣



ね？と、説得する私に渋い顔をしながらも
めちゃくちゃな発音で書いてある単語を口にしながら
ペラペラと捲り始めた。

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