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35:ロマンチック。 ページ35

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教室のドアを開けて、へへって笑う先輩は
何度見ても王子様みたいに輝いてる。




「どうして私のクラスが分かったんですか?」

「保健室でノートにクラスと名前を書いてるのを見てたから。」

「あ、そっか。」




って、納得してる場合じゃない。

先輩は何故かニコニコしながら教室に入ってきちゃうし
結衣はポカンとした顔で何も喋らないし
廉は・・・・・・なんとも言えない無表情で先輩のことを見てる。





「Aちゃん、今週あんまりシフト出してなかったから
俺もやる気出なくて休み多めに取っちゃった。」






話をしながらこちらへと向かってくる先輩の足は
私の目の前でピタリと止まる。

それも結構、至近距離なんですけど・・・。






「だって、テスト前ですよ?」

「あ、そっか。そうじゃん。忘れてた。」





今何かがひらめきました!みたいなテンションだけど
先輩って今までどうやってテストを受けてきたんだろう、と
シンプルに疑問が浮かぶ。


流石に赤点続きじゃ、留年だって免れないのに。
先輩が真面目にテストを受けてる姿なんて
到底想像もつかなくて。





「私達、今から図書館で勉強するんです。
だから今日は先輩と遊べなくて。」




というか、さすがに先輩の家にお邪魔するのは勇気がいるし。





「そっか。何かさっき隣の席の子が
今日は流れ星が見れるって言ってんのを聞いてさ
もしほんとに見れんならAちゃんと一緒にお願いごとしたいなって思ったんだよね。」




ニコってしながら話す先輩に軽率にキュンとする。

たぶん、クラスメイトの男子に言われたら
キザっぽく聞こえるんだろうけど
先輩の口から流れ星ってワードが出るだけで一気にロマンチックな気持ちになるから不思議。





「早よ行かな席なくなるで。」



さっきまでずっと黙ってた廉がいきなり口を開くから
ビクッと肩が動く。



「それならさ、皆で俺ん家おいでよ。」

「「えっ?」」



私と結衣の声が揃う。



「今日は俺ひとりだし気軽に遊びに来てくれて大丈夫だから。
勉強も大事だけど、流れ星見逃すのは勿体なくない?」



なんて、屈折のない笑顔を見せるから
激しく頷いてしまいそうだった。

36:口にした想い。→←34:無駄な反抗。



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くちゃん - はじめまして。ひよりさんの作品めちゃくちゃおもしろくてだいすきですт т ‪‪❤︎こよりさんのほうのパスワードは教えていない感じですか?(ㅠ︿ㅠ)とても読みたいです、、 (10月12日 1時) (レス) id: 248356e3db (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - え!好き!好きです!あのなんて言うんでしょう、…可愛い!!作品自体がなんかもう可愛い!夢主ちゃんの性格好きだし、そしてなにより永瀬様と平野様がかっこいい…!(様付けキモくてすみません)応援してます!! (2022年12月30日 22時) (レス) @page26 id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひより | 作成日時:2022年6月4日 16時

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