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19:波打つ鼓動。 ページ19

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「Aちゃん!」






走って向かった門の先には、私の名前を呼ぶ先輩が
嬉しそうな笑みを浮かべている。






「本当に・・・居た。」

「ん?居るに決まってるじゃん
俺から誘ったんだからさ。」

「いや、そうなんですけど・・・
先輩ってあんまり学校にいるイメージなくて」





って、中々失礼なことを言ってしまった。






「あー、確かによく授業はサボっちゃうけど
約束はすっぽかしたりしないよ。
ちなみに6限サボったから先生に見つかったら怒られるんだよね」




だから早く、って腕を掴まれる。

さっきの廉とは違う厚くて男らしい先輩の手。
力強いはずなのに優しく私の腕に触れてる。


先輩は、本当に自覚してないのかな。


周りの人達から視線を奪っちゃうくらい魅力的で
その魅力に心を盗まれている人が沢山いるってこと。


さっき、私と先輩が廊下で話しているところを見ていたクラスの女の子が言ってた。


先輩はこの学校で間違いなく一番モテていて
どんな女の子も骨抜きにしちゃう色男だって。

けど、天然だから無意識に女の子に期待を抱かせちゃって
その期待に応えられない先輩に振られた女の子が沢山いるんだって。


普通だったらタチ悪いなぁって思っちゃうけど
先輩に関しては異例だと思う。

だって、本当に悪気なんてこれっぽっちもなさそうだもん




「あ、ごめん。ちょっと走っちゃった。
ここまで来ればもう大丈夫。」



先輩の小走りにも着いていくのが必死で
息を切らす私の方へ振り向いた先輩が

ごめんね?と眉を下げて私の顔を覗き込む。



「・・・・・・鼻血出そうです。」

「えっ?大丈夫?」

「先輩の顔がカッコよすぎて」

「・・・え、それって、俺・・・褒められてる?」

「どう考えても褒め言葉ですよ。
やたらとカッコいいお顔されてるんで
あんまり顔近づけないでください。」




先輩の無意識にドキドキさせられっぱなしなのが悔しくて
つい強気な口調で言ってしまった。

感じ悪かったかな・・・と反省していると



「なにそれ、初めて言われたんだけど。
ちょっと照れんね。」



意外にも、照れくさそうに手の甲で顔を隠す素振りを見せた先輩。

そんな先輩に呆気に取られながらも


「その反応は・・・ズル過ぎます。」

「え?なんか言った?」

「いえ、何も。」



ドクンドクン、とさっきより大きく波打つ鼓動に
逆らう方法を探していた。

20:女の子が好きなもの。→←18:門の前。



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くちゃん - はじめまして。ひよりさんの作品めちゃくちゃおもしろくてだいすきですт т ‪‪❤︎こよりさんのほうのパスワードは教えていない感じですか?(ㅠ︿ㅠ)とても読みたいです、、 (10月12日 1時) (レス) id: 248356e3db (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - え!好き!好きです!あのなんて言うんでしょう、…可愛い!!作品自体がなんかもう可愛い!夢主ちゃんの性格好きだし、そしてなにより永瀬様と平野様がかっこいい…!(様付けキモくてすみません)応援してます!! (2022年12月30日 22時) (レス) @page26 id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひより | 作成日時:2022年6月4日 16時

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