鏡の花 水面の月

＊はず ページ24

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ジュンさんの事かぁ、うーん、あの頃は好きだったはずなんだ。多分、好き？だった。


はず。


今更ながら、思い出そうとしてもジュンさんの顔や雰囲気、声も思い出せない。

どこが？なんで？好きだったのかも全くわからない。
思い出もなーんにもないし、ジュンさんのことを思い出そうとしても、ソクジンオッパの事ばっかり思い出してしまうくらいだ……




「私、あの頃ジュンさんのこと、好きだった？はずなのに、なんにも思い出せないし、ドキドキも思い出もなんにもないの。私、ほんとに好きだったのかな？」




お姉ちゃんが好きな人だったから。



「お姉ちゃんの恋人だったから、好きだったのかも。」



いや、かも。じゃない。




お姉ちゃんの恋人だから。
お姉ちゃんが好きだという人だから。

だから





好きだと思っていた。
私も好きになっていた、と勘違いしていたんだ。
やっぱり本当の恋なんてしたことが無いんだ。
いつもお姉ちゃんを追いかけて……





『Aは、本当にソラの事が大好きだったんだもんな。ソラが好きな物ならなんでも好きだったんだな？』



「うん。
そう……そう、なんだよね 、 お姉ちゃんが大好きでお姉ちゃんみたいになりたくて真似ばかりで、追いかけてばかりで自分ってのが全く無かった。
うん、今でも。」




そうだ。今も私はなーんにも変わってない。




お姉ちゃんが好きそうな服装に髪型、お姉ちゃんがいたらこうするかなとかお姉ちゃんならこう思うかな、とか、そんな事ばかり考えて、勝手に想像して、お姉ちゃんになりたくて、でもお姉ちゃんみたいな理想の女の子なれなくて。




「ダメだなぁー私。全然変われてないや。成長してないし、自分で自分のことが分からないんだ。
シスコンだったもんなー、あ、今でも。なんだろうけど。」





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