柳は緑花は紅 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:143,013 hit

緑…… ページ1

･
･

私は地味だ。

見た目も中身も。

普通、いや普通以下の地味子だ。

でも、それでいい、そう思っていた。
思って、いる。

今までそれで損をした記憶も無ければ、まあ、得したことも無いけど。

それでも、一通りの人生経験をして、自分なりに楽しくやってこれた。

なのに

なんで

『チッ、なんなの。』

『デブのくせに。』

『ブスが。』

決して小さな声では無く
コソコソとでもなく
陰口とは言えない、陰口。

なんで私？
目立った事なんてしてないのに。

｢あの、聞こえてますよ？普通に面と向かって言ってもらって大丈夫ですよ？私の事ですよね。｣

この人達の悪口は聞き飽きた。

だって、実際に私はこの人達よりもブスだし、デブだろう、だから言われてもしょうがない。

｢でも、そんな分かり切ったこと言われてもねぇ、だから？なんですけどね。
ブスでデブですが、なにか？｣

努力が足りなくてすみません。

『なんなの、ムカつく！！』

『いい気になってんじゃないの！？』

『調子に乗って、ブスが！』

いやいやいや、勝手にムカつくのはいいですが、私がいい気になってると？

｢あの、私はいい気にも調子にも乗ってません。
でも、ブスとかデブとか人に言える方がどうかなと思いますよ？
自分が、美人でスタイル良いからって、いい気になって調子に乗ってませんか？私にそんなこと言えませんよね？｣

『……うるさいっ！！』

｢いや、あなたの方がうるさいですし、ブスでデブな私に意味のわからない嫉妬はやめてください。美人が台無しですよ？｣

『コイツっ、』

ガタンっ、どさっ、

え？

綺麗な女の人なのに……
綺麗な服で、スカート短いのに……
私に覆いかぶさり、髪の毛を捕まれ倒される。

『ふざけんなっ！』

バシッ！

｢ぃたっ、｣

メガネが吹っ飛んだ。

え？
なんだこれ。

ジンジンと痛む頬を押さえ、恐ろしい形相の美人さんを見つめる。

･
･