隣のひとでした…② (ページ10)

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☆体育祭ページ10

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今年のイベントは体育祭。

まぁ、運動には自信がある私は楽しめていた。

が、

飲み物を買いに行った自販機の前で
すっかり忘れかけていた先輩と会ってしまった。

『あ、Aちゃん…』

ドキドキ…鼓動が早くなる。
カチカチ…歯が鳴る。
足がすくむ。

そりゃ、同じ学校なんだから、会わないでいる方が難しい。今まで上手く会わないでいられたな。

やっぱり、声を聞いて、顔を見たら
恐怖しかない。

『何なんですか？声、かけないでくれませんか？
それ以上、近寄らないでくださいね？』

そうだ。今の私にはジョンインがいてくれる。
一緒に来てくれた事に感謝だ。

『その…ごめん、本当にごめんね？悪かった。ただ謝ることしかできないけど。本当にごめんなさい！Aちゃん！』

『名前呼ぶんじゃねーよ！！』

地味に怖かったジョンイン君がさらに怖くなった。
怖くて、手をぐいっと掴んで引いた。

「いいの。大丈夫、ジョンイン。」

「先輩…もう誰にもあんな事しないでください。私みたいな思いさせないで。
許せるかはわからないけど…謝ってくれてありがとうございます。」

どうにか、声が届いたようだ。

『うん。ごめんね…』

圭先輩も、心の底から悪い人ではないんだと思いたい。謝ってくれたんだから。

嫌な思いは消えないけど
今の私にはジョンインがいてくれるから、強くなれた気がする。

圭先輩が居なくなるまで、ぎゅっと手を強く握っていてくれた、ジョンインがいてくれたから…
大丈夫だったのかもしれない。

『大丈夫か？本当に。』

「うん、ありがとう、ジョンイン。」

今までずっとそばに居てくれて、気を使ってくれたジョンインのおかげ。
本当にジョンインのおかげだ。

「ジョンインが、いなかったら…無理だった
ありがとう。」

それに、少し会話ができた事で、なんとなく気持ちを整理できたような気分になった。

少し。
なんだか少しだけ、大丈夫かもしれない。
と、心が軽くなった。

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