超能力者には最愛の彼女がいるー１−【斉木楠雄のΨ難】

Ψ ページ47

ｺﾝｺﾝ・・・


『くすお…いる？』

楠「どうした？」


ゆっくりとくすおの部屋に入り、バレンタインチョコないと震える声で伝えようと口を開いた


『くすおごめん、チョコなんだけど…』

楠「チョコならここにある」

『え』


くすおの机の上には氷の皿に乗っているコーヒーゼリーチョコがあった


『な、んで？』

楠「朝、父さんがニヤニヤしながら冷蔵庫みてたからな。Aは隠すの下手だから僕が見つからないところに保存しておいたんだ」

『じゃあ、お義父さんが食べてたコーヒーゼリーチョコは…？』

楠「幻覚でつくったコーヒーゼリーチョコだ。味覚、触覚を再現して作ったから気付いてないだろうな」

『…よかった』


チョコが無事だと安心してへたりと座り込みポロポロと涙が流れた


楠「Aはほんと泣き虫だな」

『だってだって！私がいないときにチョコ受け取ってるし！くすおにあげるチョコ食べられそうになったし！』

楠「あれはA宛のチョコだ」

『…くすおじゃなくて？』

楠「ちがう。照橋さんがAにチョコ渡したかったが大事になるからと、渡しているとこを誰かに見られたらAがひどいめにあうんじゃないかって捨てたのを僕が拾ったんだ」


くすおは自分のカバンから例のチョコを取り出し私に渡した
そこには「Aへ」と書かれている紙が入っていた


『…じゃあ誰からもチョコもらってない？』

楠「まだ貰っていない。Aからもな」


涙を袖で拭い立ち上がって机にあるチョコを取りくすおに差し出した


『くすお、ハッピーバレンタイン』

楠「ありがとう」


うっすらと残っている涙をくすおは舐めとり微笑みあった
それからくすおと一緒にチョコを食べあい甘い夜を過ごした

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