アカツキ

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パパ、単身赴任。
ママ、旅行中。
兄、上京。



そんなわけでしばらく自由に家の中が使えます。
ママは昨日から2週間韓国へ。
お土産ねだっといた。



って言っても1人だと暇で、何となく1番上にあったしげおかを呼び出した。
美結は多分彼氏で忙しいし。
大毅は暇そうやもん。



コール音が長引く。
お風呂でも入ってんのかな。
ご飯中かな。



もういいや、と携帯を耳から離した直後、通話時間のカウントが始まった。
慌てて耳に当て直す。



『どーしてん？珍しい』



遠くの方で賑やかな声がする。
家族の音。



｢や、暇やったから…でもやっぱいい｣



きっとこれからあの暖かい家族の音に紛れるんやって思ったら、なんか今あたしと話す時間はすごい無駄なもののように思えてきた。



愛されてるんや。



『ええよ？付き合うたるで笑』


｢いやいいわ、ごめんごめん｣


『何でよ。俺を相手に選んだんやろ』



上にあったからっていう超適当な理由やけどね…



けど家族よりあたし優先してくれるんや。
元カノ相手に優しいやん。



『お前が俺に電話って初めてちゃう？』


｢別にする必要ないしなあ｣


『ちょっと嬉しいで俺笑』


｢変なやつ笑｣



んはは、って低く笑う。



電話越しの曇った声に
夜のローテンションな声に
ちょっとだけきゅんとしていた。

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