アカツキ

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瞼の裏がひどく明るい。
気のせいかカラスのような鳥の鳴き声も聞こえる。



今は朝、それとも…



『おーい、いつまで寝てんのぉ』



甘ったるい、鼻にかかった声があたしの意識を呼び戻した。
そうだ、6限に限界が来て目を閉じたのだ。



見回せばそいつ以外には誰もいないがらんとした教室が夕陽を浴びていた。
カーテンをチラチラさせて太陽を送り込むあいつが、瞼の裏が明るい原因だったか。



｢…何でまだいるん｣



同中。
中1の時、遊び程度で付き合ったことがある。
あのコトが起こる前だ。



『バスパン忘れたから取りに来たらおってんもん』


｢ずっと？｣


『うん、もうええわ思て戻るんやめた笑』


｢アホちゃん｣



クラスの太陽。
ムードメーカー。
よくいる、中心的な人間。
あたしとは対極にいるヤツなのに、よく話しかけてくる。



同中だからってのが大きいと思うけど。



｢テスト近いのにまだ部活あるんや｣


『明日から休み。今日最後やってん』


｢サボってたらレギュラー外されんで｣


『だぁーいじょぶ。俺上手いから笑』



笑ってる。
って感じの笑顔でこっちを見る。
一部の女子の間ではニコニコ天使と呼ばれてるらしい。



天使かどうかは置いといて、笑顔が綺麗なのはまぁ確か。



『帰らんの？』


｢そっちこそ｣


『一緒に帰る？』


｢遠慮するわ｣


『即答やな』



何で付き合ったか分からないくらい真逆なあたし達。
もちろん、伏せている。



近頃の女子は怖いんや。

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