アカツキ

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離れようともがいてみても、上に乗った頭が退けようとしない。



ほんまになにがしたいんか分からへん。
こっちを見つめる視線は逸らされることなく真っ直ぐ射抜いてくる。



それを意識してしまう自分も嫌だった。
もう異性は知りたくないと、知るもんじゃないと誓った。



なのに学習能力もなくこんなやつに。
ただ2人きりという状況がフィルターをかけて胸を高鳴らせる。
嫌だ。



もう誰かを好きになるのは、怖い。
終わりがとてつもなく怖い。



｢離れて｣



元カレ、という立ち位置は他の人よりも浮いて見えるもの。
良さも悪さも、他の男子よりは知ってるつもり。



『…嫌や』


｢何で？こんなことしに来たんちゃうやろ｣


『俺はあいつと違う』



あいつ。
その3文字だけで記憶が駆け巡る。
思い出とは呼びたくない。



ただの記憶。



あの頃は3人の誰ともクラスが同じじゃなかった。
味方のいない空間で、誰が敵かも分からない状態で1人で闘える自信は皆無だった。



泣いてばかり、愚かだった。



｢その話しやんで｣



お腹に腕が回った。
触れられることにすら肩を震わせてしまう。



『なぁ、』


｢なんも言わんといて｣


『俺の事も、信じられへんかな』



やめてほしい。
見せないでほしい。
隠して、気づかないように押し殺して。



あたしは応えられないから。



真冬から抜け出さないのはあたしの意思。

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