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「えっ………?」
「いや、だから君今日でクビ」
「は?え、ちょ、」
理解不能。
目の前のおじさんは
私のバイト先の居酒屋さんの社長さん。
何故だ。
まぁ、カフェのお仕事があるから良いのだけど。
でもあまり収入はないから、
他のバイト探さないとダメだなぁ。
・
「え、」
「ごめんね、Aちゃん。私たちも潮時だ。」
何故でしょう神様、
私が何をしたというのでしょうか。
朝出勤したら、カフェの店長が
何やら寂しそうな顔をしていて
そして杉本くんも揃ったところで、
「今日で店を閉める事にしたよ。」
白髭が素敵なおじいさん。
優しげでとても尊敬していたと言うのに。
(私、無職じゃん……、
いくらあの優しい大屋さんでも
家賃払わないと……)
どうしようか、取り合えず
今あるお金でしばらく生活しよう。
そして早く仕事を見つけて、
生活を安定させなければ。
と言うことで、本日最後のお仕事、
張り切って行きましょう。
・
「そうか、店を閉めるのか……。」
今日も福沢さんたちがやって来た。
「はいぃ……、私今日で無職ですよ……
本当についてないですね、あははは…」
「それは残念だねぇ。」
乱歩さんは他人事(だからしかたないのだけれど)のように
へらりと笑った。
うぅ、可愛いから憎めない……
この私の能天気頭め…!
「それは気の毒だ。
……貴殿は事務仕事は出来るか?」
「……はい?え、あ、まぁ。
人並み以上には機械触ってましたよ。」
私の誇らしき弟たちのMIXだの
マスタリングだの
あと曲作ったりしてたのでね。
なんて言ったらオタク呼ばわり(間違ってない)されるので。
「では伊藤殿、
武装探偵社で働かぬか。」
疑問符がついてないってことは、
強制ですか、私の愛すべき諭吉さん。
あ、勘違いしないでお金の方←
「本当に!?A来るの!?やったぁー!」
「え、いや、まだ行きますなんて一言も」
苦笑いをしながら両手を右往左往させる。
すると、後ろから
「良いじゃないか。
やってみたらどうだい?」
店長がにこりと笑ってコーヒーカップを拭いていた。
「うーん、まぁ別に構わないのですが…」
手に抱えたお盆をぎゅっと握る。
福沢さんがコテンッと首をかしげると
白髪がふわりと揺れた。
え、なに可愛い。
「どうだ?「喜んで働かせていただきます(即答)」
……そうか。」
私は、
どうやら
可愛いものに目がないようです。
伊藤A、入社理由『社長が可愛い』
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空き地@ktnk - 初コメ失礼します。とても面白いです!更新されることを待っています!頑張ってください! (2020年9月24日 7時) (レス) id: da313b2c7d (このIDを非表示/違反報告)
リンレイ - 凄く面白いですね!更新楽しみにしてます! (2019年10月21日 7時) (レス) id: 551bea7f08 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - めっちゃ面白かったです。更新復帰楽しみにしてます。 (2018年1月28日 16時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2017年8月13日 3時