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うらたside


「なぁうらたん。」


部屋に戻ると志麻が話しかけてきた。
もう日没だ。空は群青の割合が多くなっていた。


「どうした志麻。」

「最近……さ、


坂田、元気ない、っていうか……
昔の明るさ、無くなったよな。

帰ってくる時間帯も遅くなったしさ。

俺達の前以外で話すときとか
表情も暗くなった、っつーか、黒くなった?」


確かにそうだ。
みんな空気を読んで言い出さなかったが
坂田の帰ってくる時間は日付が変わってから
1、2時間越えることも多くなった。

俺達の前では普段通り笑顔でいるが、
俺達以外が目の前に居るときは、
絶対に笑わなくなってしまった。


「確か、坂田の上司って太宰治やったよな?」


センラが確かめるように言う。

俺達が下級構成員になってから、
俺と志麻とセンラは尾崎幹部の下についた。

坂田が太宰治の下についた。



坂田だけが。


「もう、何人も殺したな。」

みんな、大勢の人間の命を奪った。

すっかりマフィアの風格になった。
もう、

Aさんには合わす顔なんて


「な、こんな心気臭い話は止めようぜ。


明日もう一回、Aさんを探しに行く。」


自分の中に一瞬過った考えを振り払う様に
そう声に出す。

「おうよ!」

「せやね、
そろそろ新しい情報を手に入れやんと。」

センラはベッドに腰を下ろして
志麻は椅子の背もたれ越しに俺を見る。


「いつか絶対、5人で帰ってやる。
帰って、それで、

今度は同じ歳に転生するんだ。」


死んだっていい。

亦いつか、
絶対に元の世界で5人で集まってやる。


「幼馴染み、やね。

A先輩の取り合い起こりそうやなぁ。」

「なっ、Aちゃんは渡さんで!」

バァンッ

「何の話しとるんやお前ら!!
Aは俺の、

ってどうしたお前ら。」


いきなりドアが開いたかと思えば
そこには元気な坂田が立っていた。
そして急に叫び出す始末。


「ふぅっふっふっ、
さかたんには渡さへんでー!」

「二人とも落ち着け、話がずれてる。」

「え?おちちついて?」

「ツンツン」

やっぱり、変わらない。
コイツらも俺も。


浦島坂田船は変わらな……

そうだ!!


「そうだ!そうだよ!!」

「?どうしたんうらさん。
悪の波動にでも目覚めた?」

「浦島坂田船だ!」

「え、俺達がどうかしたん?」

これだ、見つけた!Aさんを探す方法!

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空き地@ktnk - 初コメ失礼します。とても面白いです!更新されることを待っています!頑張ってください! (2020年9月24日 7時) (レス) id: da313b2c7d (このIDを非表示/違反報告)
リンレイ - 凄く面白いですね!更新楽しみにしてます! (2019年10月21日 7時) (レス) id: 551bea7f08 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - めっちゃ面白かったです。更新復帰楽しみにしてます。 (2018年1月28日 16時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2017年8月13日 3時

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