5 ページ7
あの後すぐに伊地知くんに連絡を取り、傑の任務内容を確認してもらった。一級術師である私ができるであろう任務を選んでもらい、今はその現場に向かっている最中。今回の案件は一級相当のもので、現場は廃病院だ。私が下手なことをしない限りは余裕で祓えるだろう。今日の補助監督は新田ちゃん。
「夏油さんてご夫婦の仲いいっスよね」
『そうだね…仲は良いと思うよ。新田ちゃんの前で私たち一緒に居たことあるかな？』
唐突に話しかけられて顔を上げた。夫婦仲意識したこともなかったな。付き合ってから結婚するまで色々あったけれど、大きな喧嘩はしたことない。元々、傑はかなり思考が大人びていたのでそこまで考えたことがなかった。
だが、その傑でさえ一度道を外しかけた時はあるが、皆は知らないのだろう。大変だったのは思い出してもあの時だけだったな。それより、彼女の前で仲睦まじい様子は見せていたかな。気になって聞いてみる。
「たまたまお見掛けしたっス。今まで見たことないくらい、夏油さん…えっと、旦那さんの顔が優しかったっス」
『それはちょっと恥ずかしいかな…』
思った以上に恥ずかしかった。他人から見て分かるってどんな表情だっけ、私は見慣れてしまっているから気づいていないだけなのだろうか。そんな感じで新田ちゃんと他愛のない話をして和んでいたのに、薄暗い気味の悪い廃病院に着いた。
『いかにもな場所だね。……じゃあ、サクッと行ってくるね』
「はいっス！お気をつけて！」
彼女の元気な声に見送られ、一歩敷地へ足を踏み入れると帳がちょうど下りた。中を捜索し行方不明者を多発させている原因の呪霊を探す。一人で探すのは骨が折れるので、捜索用の等級の低い呪霊を創り、何体も放出した。暫く一人で捜索していると、遠くから一体ずつ私の呪霊が祓われていっている。それは段々と私のもとへと近付いている。漸く本体のお出ましか。
手元に呪具と、一級相当の呪霊を二体呼び出し待ち構えていると、急に地面が抜け落ちた。
受け身を取り、地面に着地すると見たことのない景色で、廃病院ではない場所だった。少し歩くと、高専の制服を着た学生が。
『ここは？……って呪術高専の制服……、君たち何をしているの？ここは一級任務だよ』
「え！？ええ！？！？五条先生の……！」
「ちょ急に立ち止まんないで……、あ！！！！」
「何してんだ虎杖、釘崎。何止まって……あ？Aさ…」
『危ない！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 959人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蓮実 | 作成日時：2023年10月16日 0時
