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「A、おはよう」
『傑、おはよう』
旦那である傑が寝室から大きい欠伸をしながらリビングへ来た。連日の任務、そして学校の先生として奔走している。先生をしながら任務だなんて、任務だけをこなしている私からしたらさぞ大変なことなんだろうと思う。
『傑、クマがひどいよ。明日か明後日休んだ方がいいと思うけれど』
「じゃあそうしようかな。…元々有給取ろうと思っていたし。あ、勿論Aも休んでくれるよね。…君の旦那がこんなにも疲れているのに。……ね、いいでしょ?」
『……いいよ、私も休むね。…明後日でもいい?任務が立て込んでて』
「ありがとう。いいよ、今日私も学長に申請しとくから」
彼の目の下には濃いクマが出来ていて、寝不足なのが一目で分かる。特級術師である彼が倒れてしまっては元も子もないし、私も彼にそんなになるまで働いて欲しくないから休んで欲しいと言った。彼は私が座っているソファの隣に座ると、私の腰を抱いて引き寄せては、優しく抱き締めて、私の首筋に顔を埋めた。彼の鼻先が首にあたってくすぐったい。
彼はこのままの勢いで寝てしまいそうなくらいだ。彼に私も休むように要求されると、予定を思い出しては明後日がいいなと彼に言い。彼もそれに対して快く了承してくれた。
彼は私の首筋に顔を埋めては、匂いを嗅ぎそのまま唇を這わせて吸い付いてくるので、流石に首筋に赤い痕が付いてたら五条や硝子に揶揄われるし、28歳にもなって見えるところに付けたとなると社会人としてまずい。
後ろ手で彼の額辺りを軽めの力で押し返して、制した。
『傑、流石に駄目』
「駄目か。…見えないとこならいい?」
『いいけど、今は駄目だよ。止まらなくなるでしょ』
「よくご存知で。……じゃあ、キスにしとく」
いつもはこんな事しないから、彼はかなり疲れが溜まっているのが伺い知れる。私の制止で彼は止まり、額にあった私の手を口元に持っていくと、口付けを落とした。
なんだ、手でいいのか。なんて呑気に考えていたら、彼に顎を掬い流れるように触れるだけの優しい口付けをされる。
「私が手だけで満足するとでも?」
『……』
傑は嬉しそうに笑い、してやったような表情をするので、このままでは彼の思うままになってしまって悔しいので、離れていく彼の胸元の服を両手で軽く掴みながら、私も口付けを返した。
「はは、Aには本当に敵わないよ」
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作者名:蓮実 | 作成日時:2023年10月16日 0時