私のヒーローアカデミア(9) (ページ6)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:3,657 hit

木曜日　図書室　私目線(2) ページ6

A「え？」
「難しい顔してたからさ。俺だけ相談するんじゃ不公平でしょ。Aちゃんも、いいよ？」
…優しい人だ。私はゆっくり、でもちゃんと昨日の失敗を話した。

「うーん、それは、その実…。」
上鳴くんは、コメントに困っているようだった。それはそうだよね、救いようの無い出しゃばり方だったし。
A「あ、えっと、いいんです。無理して何か言わなくても…。」
「それは…あのね、飯田は、Aちゃんのことが気になるんじゃないかな。」
A「…？」
「だって、Aちゃんがモテることに少なからず気付いて、気にしてたんでしょ？」
急にそんなことを言われたって、理解し難い。それに、気になるということがいいこととは限らない。昨日の言葉からして、恋愛に現を抜かすなとかそういうことかもしれない。
A「うーん…？」
「まー、そんな気にすることじゃないと思うけど。けど確かに、男子の中で誰がモテてんだろ…。」
意外にも、上鳴くんが食い付いたのはそんなことだ。
「やっぱり、クラス屈指のイケメンボーイ轟？意外に才能マン爆豪とか？いや、そりゃないか…？俺もモテたいなー…」
A「?!」
思わず、ガタッと椅子を引いた。
理由は単純、驚いたからだ。轟くん、モテるの…？爆豪くんも、モテるかもしれないの？
そして、私はその2人から想いを寄せられてるの？
「お、どーしたAちゃん…。」
A「いや…なんでも。平気です。」
呼吸を整える。
ちゃんと。ちゃんと、返事しなきゃ。
傷付けるかもしれない。でも、ずっとこのままじゃ駄目ってことはわかってる。
私の気持ちが、委員長から揺らがないことも。
A「上鳴くん。」
「ん、何。」
落ち着いている上鳴くんは、やはり格好良い。
A「もう1回、伝えてあげてください。上鳴くん、充分優しくて格好いいですから。」
「あ、マジ…んー、わかった頑張る!」
上鳴くんは立ち上がり、ニッと笑った。
「相談乗ってくれてありがとな!Aちゃんも…俺には理解できない気持ちでいるんだね…でも、飯田はそんな…Aちゃんのこと、いい子だと思ってると思うよ!」
A「…ありがとう。」
「…っ、ほら、今とかすげー可愛かったし!絶対大丈夫だから。じゃ、俺は頑張って来る!」
私も、頑張らないと。上鳴くんの頼もしい背中を見て、ひしひしと感じたことだった。