私のヒーローアカデミア(9) (ページ16)

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土曜日　文化祭　私目線(3) ページ16

私が委員長と星の話をしている間も、爆豪くんはずっと不機嫌だった。
さっき、少し発後さんと話してたけど、尚不機嫌だ。
A「…あの、爆豪くん。」
「…あ”。」
…告白の確認と、返事。
あの時、爆豪くんは確かに「好き」と言った。私には、そう聞こえた。
でも、もしかすると。冗談で言ったのかもしれない。気まぐれに言ったのかもしれない。
だから、確認。そして、返事をする。ちゃんとする。「他に好きな人がいます」と。
「なんだテメェ、さっさと言えや!」
A「え、っと…。」
いざ言おうとすると、なかなか声が出ない。
「…」
やばい、この沈黙は辛い…。
「ねぇあなた、名前聞いてなかったね。私は、言葉優穏といいます。あなたは？」
まだ聞き慣れない声。発後さんの話に登場した女性。落ち着いた雰囲気と裏腹に、甲高い声で笑っている場面を、この数分で何度も見た気がする。一気に緊張感はなくなり、私はまずこの女性とのコミュニケーションに集中することにした。
A「私は…虫呼 Aといいます。」
「よろしくね～! 飯田？って人は雄英高校から来たとか言ってたけど、あなたも？」
A「そうですよ。」
「へぇ、すごーい!あ、爆豪くんのことは知ってるよ!体育祭でせっかく優勝したのに、がんじがら」
急いで言葉さんの口を塞いだ。全く、不敵な人だ。
「あ”ぁ、なんだテメェ。」
「お客様、手当たり次第当たっていくのはお止めください。」
発後さん、サマになってる…。
その時、口を塞いだ手が払い除けられた。
「…解消、今日超ぉぉぉ格好いい。」
言葉さんの小声は、どこか不自然で。特別な感情を示しているようだった。
「そういえば、Aさんはどこで解消と知り合ったの？」
A「私は、発後さんに助けてもらったことがあって。」
「そうなんだ、私も! 私も助けてもらったことがあるんだ。」
あ、そういえば、そんなことを…。
「その時ね、解消私に…解消私が傷付くようなことを言ったの。」
ごめんなさい、ほとんど知ってます。
「それで私、勘違いした。解消に嫌われてるんじゃないかってさ。今となっては申し訳ないよ。」
…知っているはずなのに、なんだか少し苦しい。それは、速くなる言葉さんの心拍とリンクするようで。
「でもさ、またこうやって会えてよかった。」
少し赤くなった言葉さんの笑顔を見て、確信した。
2人は両想いだと。
「ごめんねー、私が話しすぎた!Aさんは、どっちと付き合ってるの？」
A「え？」
「爆豪くんと、飯田？くん。」