私のヒーローアカデミア(9) (ページ13)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:3,658 hit

土曜日　午後　私目線(2) ページ13

その時、視線を感じてその主を探す。
「どっかで見た…。」
「ん～？」
数名の小学生が、委員長の方を見て記憶を探っている。そっか、体育祭。全国放送で生中継されてたし。
「あ、雄英!!」
「あ～、そっか体育祭!!」
「そこ、指差しません。すみません、子供達が…。」
「いえいえ…。」
委員長は、窓の外を見て少し顔を染めた。
「なんだか…少し恥ずかしいな。」
A「でも…春の体育祭から今まで覚えられてるなんて、すごいです。きっと、すごい熱戦を繰り広げたんだろうな…なんて。」
「君、体育祭は見ていたか？」
A「…少し。」
当時の私では、“個性”使用のオンパレードである体育祭を全編見ることはできなかった。
でも、今なら。
A「今なら全編見たいなと思います!…ほら私、過去にあんなことがあったから。途中で見るのやめてしまって。今思うともったいないです。」
「そうか…。でも、今俺達と君はすぐそばにいる。だから、いいんじゃないか？」
A「…そっか。」
今、そばに。毎日会って、笑い合って、学び合って…。そう思うと、後悔も薄れてくる。
「…虫呼くん。」
A「はい？」
委員長の表情は、逆光でよく見えない。
「今日は、楽しもうな。」
A「…はい!」
委員長は、こちらを向いて優しく微笑んだ。私が好きな笑顔。
『次は＿＿＿』
「もう降りるのではないか？」
A「あ、そうですね!」
楽しいと時間はすぐ過ぎると言う。その通りだ。
これから、もっともっと楽しもう。軽快な足取りで、電車を降りた。