私のヒーローアカデミア(9) (ページ12)

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土曜日　午後　私目線ページ12

委員長、まだかな。
正門付近。さっきから、こんなことばかり考えている。馬鹿馬鹿しいと、自分でも思う。結局、見た目はいつも通りだ。
昨夜、委員長と一緒に文化祭に行くことが決まってからトントン拍子に話が進んだ。芦戸さんと麗日さんと耳郎さんと八百万さんにスタイリストをお願いするという話も出た。でも、4人の趣味が合わなすぎて無理だった。誰か1人に頼むと偏ってしまうし。
いいんだ。私は、私のままで。見た目なんて気にしていられない。それに…そこに委員長がいれば、私はどこだって楽しめるだろう。
「悪いな虫呼くん!2分程遅れた!」
A「あ、いえ!平気です。」
この前…勉強会からギクシャクしているように思っていたけど、そうでもないみたいで。
「それでは出発しようか。」
A「…手？」
委員長が差し出したものは、紛れもなく手のひら。
「む…悪い、つい、な。」
A「あ、はい…。」
そのまま私達は歩き出した。よく考えると、少しもったいない気もする。発後さんの学校までは2駅。気張らないで行こう。
勉強の話をしていると、意外にも早く駅に着いた。各駅停車の電車に乗り込み、席を探す。
A「空いてない…みたいですね。」
「そうだな…。!」
委員長が、1つの席を指差した。
「空いているぞ、座るか？」
A「委員長は…」
「俺はいいんだ。さぁ…。」
その時、腰の曲がったお婆さんが横を通った。
「どうぞ、この席へ。」
委員長が、すかさず声をかける。
「ありがとう。いいよ。私は次で降りるからね…。」
「いえ。僕らもすぐ降りるので。お体大切になさってください。」
「そうなの…。ありがとう、座らせてもらうね。」
お婆さんは、私が座ろうとしていた席に座った。
「悪い、虫呼くん。ご老人がいたら席を譲るというのは癖であって…。」
A「いえ!…それに、その癖優しいですね!」
「…ありがとう。」
それだけ言って、私は目を背けた。今更顔が熱い。「優しい」と面と向かって言うのは、誰だって勇気がいるだろう。
5分くらいして、次の駅に着いた。お婆さんは降り、その席に私が座ろうとした。すると。
「次どこ行くんだっけ？」
「えっとね…しおり見てみよ？」
小学生の大群。恐らく遠足なんだろう。
A「!!」
1人の小学生とぶつかり、体がよろける。
「大丈夫か？…もう少し端に寄るか。」
私がとっさに掴まったものは、委員長の肩。本人はなんとも思っていないようだ。
それは、そうだよね。私の片想いだもん。
「あの人…。」